第五話 蹂躙
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ているような気がする。
統一戦線が、世界随一の規模を持った反米国家である中共に、この日本を差し出そうとするのは、考えられない事ではない。建御雷と中共艦隊との戦闘をきっかけとし、中共と日本の軍事的均衡状態を崩して戦争を誘発する為に、誰かが描いた絵ではないかというような気もしてくる。だったら、その絵に安易に乗っかる訳にはいかない。
田中は、納得いかない顔をしている長岡を怒鳴る。
「20基の噴進弾攻撃なぞ、退けてみせろ!訓練通りやればこなせる数だろうが!」
――――――――――――――――――
津村は、訳が分からなかった。目の前で森の雷電改が炎に包まれた。森は、中共艦隊に向かって飛んでいく噴進弾を撃ち落としに向かったのだ。それは見ていたら分かる。中共艦隊を守ろうとする行為である、それは。
なのに何故、中共艦隊からの噴進弾で森が死なねばならないのか。意味が分からない。
別にそんな好きな人では無かった。
いちいち堅いし、冗談あんまり通じないし、ちょっとした事ですぐ頭を小突いてくるし。暇してたらだいたい「機の整備を手伝いに行け」とうるさいし。
でもどうしてか、悲しい。悲しいというか、虚しい。
あんなにあっさりと。
この世から消えてしまうなんて。
命令を受けて、中共艦隊のミサイルを迎撃する。向かってくるミサイルをロックオンし、対空ミサイルを撃った。体が覚えている動きだ。
パイロットに感情はない。
パイロットは、戦闘機の最も高価な部品である。
―――――――――――――――――――
「噴進弾5基撃墜を確認!15基飛翔中!」
「対空戦闘、諸元入力、対空弾撃ち方始め!」
「うちーかたはじめーー!」
山本の報告に、本木の指示、それに対しての復唱が続く。CICのスクリーンには、海域の俯瞰図、建御雷を示す大きなマーカーに、15の光点が追いすがってくる様子が見てとれる。中共艦隊とはそう距離は離れていない。航空隊の迎撃では5基を堕とすのが精一杯で、すぐにミサイルによる迎撃ラインに移行する。建御雷のミサイル誘導システムの上限は一度に18基。15基ならミサイルによる迎撃で対応できる。
建御雷艦体基部甲板のVLSが、一斉にその口を開ける。15の砲口。その中には、87式対空噴進弾がその弾頭を太陽の光に煌めかせる。
一斉に噴煙を巻き上げて、15基の対空迎撃ミサイルが、垂直に飛翔する。そこから、飛来する目標群へと進路を変え、ブースターからターボジェットエンジンへと動力を切り替えて水平飛行を始める。
「中共艦隊、さらに噴進弾を発射!また20基!20基発射しています!」
山本が叫ぶ。スクリーンには、中共艦隊のマーカーからさらに20個の光点が現れる。
長岡は不自然に思った。杭州級のミサイル誘導システムの能力
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