第五話 蹂躙
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ブシュゥーーーーー
独特の音を響かせ、煙をたなびかせながら、フリゲートから対艦ミサイルが次々と撃ち出される。何本、十何本もの矢が、東海第三艦隊から放たれ、それは誘導されて、二神島へと誤りなく飛んでいく。
「最新鋭の飛空艦とはいえ、5隻もの対艦ミサイル一斉発射を防げるかな?」
張は席に戻る。椅子に深く腰掛けて、福建CICのスクリーンを愉快に見ながら、新しい葉巻に火をつけた。
―――――――――――――――
「ちっ、中共っ艦隊っ!!ふ、噴進弾っ噴進弾発射多数!!かかか数は20ぅっ!!」
建御雷レーダー手の山本の声が裏返る。森機の撃墜に、言葉を失っていた建御雷CIC。容赦ない中共艦隊の対応を報せるその声に、一瞬時間が止まる。
「対空迎撃戦闘!!一基残らず叩き落とせッ!でないと死ぬぞッ!!」
「間」ができたCICの全員に、田中が檄を飛ばした。人が死んだのを悲しむ暇すらない。次から次へと「死」は迫る。それは無慈悲に迫ってくる。
「機関始動!全速回避!」
建御雷のエンジンが急激に唸りを上げ、その巨体が二神島から浮き上がる。どんどん加速していき、敵のミサイルと距離をとる。
「艦長、まだ山犬と機甲部隊が島に…」
「後で必ず回収する!今は回避行動が優先だ!」
田中は通信員の風呂元と中野に向かって怒鳴る。
「通信士、中共艦隊に、こちらからの交戦の意思はない事を伝えろ!先ほどの噴進弾は我々のものではないという事もだ!」
「は、はいっ!」
中野の顔も、いつもとはまるっきり違い、真剣で、そして焦燥感に溢れている。当たり前だ。命がかかっている。
「艦長、この噴進弾は杭州級の電探圏外から放たれています!ヘリによる支援により誘導されているものである事は明白です!航空隊にヘリを排除させれば…」
「それはできん」
長岡の提案を田中は退けた。
「噴進弾を破壊するのは最低限の防衛行動だが、中共ヘリ部隊を撃墜してしまえば、それはもう戦闘だ。向こうも被害が出た分、絶対に引き下がらん、こちらも後には引けなくなる。」
「こちらには死者も出ています!向こうは人が乗った戦闘機でも平気で撃墜したんですよ!」
「真っ向からぶつかり合う形になったら、『死者が出た』そんなものではすまん。中共は日本に太平洋への玄関口を塞がれとるんだ、日本への侵攻の口実に、我々がなったらどうする」
田中も森と同じように、この中共艦隊のこの海域での展開の早さには疑問を抱いていた。それに併せて、統一戦線の近海に展開した中共艦隊へのミサイル発射、それに呼応し先に向こうが撃ってきたという大義名分を得て「待ってました」とばかりに建御雷に襲いかかってくる中共艦隊。全てが仕組まれ
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