第四話 激突
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統一戦線基地の五階は、生産設備となっていた。何らかの工作機械、製造ラインが、広々とした空間に乱立している。恐らく、統一戦線の機動甲冑もここで生産さ れていたのであろう。どこから資源を確保したのか、そもそもどのようにしてこのような要塞を秘密裏のうちに建造する事ができたのか、それら全て謎である が、殲滅命令という事は、上層部はその真相を既に分かっていて、だから自分達山犬を送り込んだのだろうなと印出は思った。情報機関である東機関の一員であ る印出だが、印出本人は国家の裏側というものに興味はない。わざわざ知ろうと思わない。ただ、命令を受けて敵を殺す、それだけで充分だった。命令によって 示されるのが自分達山犬の敵、正義も悪もない。敵は敵。殺す。
「よーし、じゃ、最初の約束通りバクダンし掛けてトンズラすっか。ちょっと時間かかっちまったなァ。建御雷の連中に心配かけちまったかもしんねぇ、連絡用員にすぐ帰るって建御雷に通信入れさせろ」
「ハッ」
地下五階にもなると、直接通信は通じない。侵攻していくのと同時に、各所に無線ルーターを配置し、リレー通信で入り口に待機させていた
通信兵へと連絡をとる。
が…
「隊長、無線が飛んでいません。どうやら、ルーターが稼働していないようです、故障か、あるいは破壊…」
「アァ?」
鼻白む印出に焦ったのか、一人の隊員が「自分が伝令に…」と言って、生産設備の部屋を飛び出して行ったが、部屋から出てすぐ、銃声が響き、その隊員が血を噴き出しながら飛び跳ね、動かなくなった。
印出のニヤケ面が、どんどん歪んでいく。
その視線の先に、一人の男が姿を現した。
彫りが深く、無精髭が目立つ顔立ち。髪はギスギスした質の悪さ、背は高い。悠然と歩いてくるその姿に、一瞬、山犬部隊全員の視線が釘付けになる。
しかし、それは一瞬であった。
連続し、重なり合うマシンガンの銃声。誰も何も言わずとも、山犬全員が、目の前の和気に向かい発砲していた。無数の銃弾にその身を打たれ、和気の体は激しく踊った後に、仰向けに倒れる。
最初に口を開いたのは印出だった。ニヤケた顔は、多少怒りに歪んでいるようにも見える。
「何だ、まだクズが残ってやがったのか。おい、お前ら、もう一度このフロアを虱潰しに当たって、クズが残ってりゃ始末し」
「変わらないな、お前達は。相変わらずだ。」
印出の指示に答えたのは、山犬兵士の誰でもない声だった。これには、山犬兵士達も動揺する。
「挨拶は撃ってから。それが山犬、いや、東機関だからな。うん、相変わらずだ。」
撃たれ、倒れ伏した和気の向こうから、また、彫りが深く、無精髭が目立つ顔立ち。髪はギスギスした質の悪さ、背が高い男が悠然と歩いてくる。山犬兵士の表情に
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