第三話 進撃
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ドの向こう側から、数人の兵士が手を後頭部に組んで出てきた。
「降伏、降伏だ!もう抵抗の意思はな」
「降伏は無駄だ抵抗しろよ」
丸腰の兵士達に、印出のマシンガンが火を噴く。ばら撒かれる弾丸に、無惨に引き裂かれていく兵士達は、信じられないとでも言いたいかのように目を見開いていた。
「せっかく、自決する時間くらいはやったのに、何だよそれ。もっとカッコ良く死ねよ。命を粗末にすんなよ。無様に死ぬなよ。死ぬのは決まってんだから。」
印出は、この血の匂いと硝煙の匂いが立ち込めるこの地下施設の中でも、微妙に笑った顔を崩さない。足元に倒れている、統一戦線兵士だったものの頭を、ぐしゃりと踏み潰す。
「1人20殺、1人20殺」
つぶやいて、印出は口笛を吹き始める。
守るも攻めるも黒鉄の
浮かべる城ぞ頼みなる
浮かべるその城日の本の
皇国の四方を守るべし
真鉄のその艦日の本に
「仇な〜すく〜にを〜♪せ〜め〜よ〜かし〜♪」
最後のワンフレーズを口ずさみながら、印出は更に通路の奥へと歩みを進めていく。
―――――――――――――――――
徹甲弾が装甲を貫く。撃たれた統一戦線の機動甲冑のコクピットは、亀裂から赤い液体を垂れ流して沈黙する。
密林に潜む敵も、遠沢の狙撃は許しはしない。頭を上げた途端に、鋼鉄の槍がコクピットを貫き、中に棲む人間を串刺しにする。
遠沢だけではなく、叢原火の奮戦も目を見張るものがあった。1対1の勝負になれば、統一戦線の機動甲冑にはほぼ負ける事は無いのではないかと思うほどに強 い。木々の間をすり抜けるように動き、関節各部の稼働域の違いが、とりわけ近接戦闘での強さの違いによく表れる。白川が自信を見せている叢原火の優秀さは 疑いようないらしい。
また一機、叢原火の接近に気づいた統一戦線機の銃撃をヒラヒラとかわし、身をぐぐっとかがめ、地面に滑り込んでその足元を掬い、バランスがぐらついた所を、 0距離で主砲の射撃を食らわせる。密林という、動きの限られ、また最高速度が出せない場所で、叢原火のしなやかでトリッキーな動きが際立つ。
18対6の戦力差は、今や6:6になっていた。
――――――――――――――
二神島要塞の地下四階では、統一戦線が基地内の戦力をそこの一点にかき集め、頑強な抵抗を続けていた。地下四階から最深部、発令所のある地下五階へは、大き な階段が一つだけ。その唯一の五階への入り口の前には大きなバリケードによる陣地が築かれていた。その階段がある大きな部屋へは、これまた広めの通路だ が、その通路も一本道で、その通路は遮蔽物が取り除かれ、200mの長さがある。基地各部から侵入し統一戦線の兵士を血祭りにあ
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