第三話 進撃
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タによれば、二神島の統一戦線基地施設は、このやたら大きな無人島の西側に偏って分布 していた。建御雷は飛空艇ならではの、水上艦とは比べ物にならないその機動力で一気に二神島の東側に取り付いた。レーダー破壊を確認してから、機関全速 200ノット以上を出して肉迫しても、五分はかかり、その間に奇襲に気づいた敵が対空レーダーが潰されているとはいえ、何らかの迎撃を加えてくるのではと の恐れもあったが、火と煙に包まれたその西側は、それ以外はとても静かで、何の抵抗もなく、建御雷は東海岸に静かに着陸できた。
艦隊基部の前部ハッチが開き、日本製可変式機動甲冑「叢原火」5輛と、大型自走砲「頽馬」が海岸の砂浜に歩みを進めていく。頽馬のコクピットには、いつも通り有田。射撃手席には、遠沢。有田が、通信回線を開く。
「敵基地に向け、進撃。」
計6輛の陸上機甲部隊が、二神島の密林の中に姿を消していった。
――――――――――――――――――
「敵は、東側海岸に着陸。機甲部隊を揚陸したようです。」
「数は?」
「機動甲冑が5、自走砲が1です」
世 界抗米統一戦線日本支部二神島基地の発令所。この基地は、その施設の半分以上が、この島独特の硬い岩盤の下に埋まっている、まさに秘密基地である。この岩 盤に守られて、上空からの爆撃ではいくら頑張っても基地中枢は無傷である。だからこそ、地上部隊を揚陸しての制圧にかかったのだろうが、それがこの数であ る。日本軍が秘密裡に動かせる戦力には、相当限りがあるようだ。そして、日本軍が秘密裡に動かねばならない状況を作っているだけでも、統一戦線としてはか なりの成果だと言えよう。日本政府は、統一戦線を大々的に潰して、アメリカの手伝いでもしてるかのようなイメージが広まるのを避けたい。統一戦線の側に支 持が集まるかもしれない。「60年前の戦争を、ビビって早く終わらせ、今も統一戦線を潰してアメリカに媚を売るような腰抜けの今の政府ではダメだ。統一戦 線と共にアメリカと戦おう」このような論調を恐れているのだろう。そのような恐れを抱かせるほど日本に浸透しているのは成果だ。
「上の都合に構って、討ち死にしに来た哀れな奴らだ。機動甲冑全機出しておもてなししてやれ」
「は、全機を攻撃に回すのでありますか」
「全機だ。ここは周りが海、孤島。これ以上奴らの戦力は増えん。どこからも増援は来ん。全機出して潰せ。」
岩盤に配線も剥き出しで無理矢理くっつけたようなコンソールに向き合うオペレーターに、指揮官は支持を出す。その顔は堀が深く、無精髭が目立っていた。
―――――――――――――――
「………………来た」
遠沢は、高台に配置した頽馬の砲塔内射撃手席でつぶやいた。つぶやいた時には、既にもう撃っている。頽馬のリニア砲身から
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