第三話 進撃
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こんな薄情な部下を持って悲しい。歪みだ、現代日本の歪みだ。」
そう言いつつ、印出はつかつかと、敵の陣地への回廊の曲がり角に立つ。そして、部下を振り返る。
「仕方なく、俺が突っ込んできてやるよ。お前らは後からゆっくり来な。」
――――――――――――――
「!!」
陣地の統一戦線兵士が身構える。しばらくぶりに、200mの通路の向こうに敵が見えた。たった、一人。黒の戦闘服。間違いなく、山犬だ。
「撃てェ!!」
そう陣地の指揮官が叫ぶと同時に、200mの向こうに居る印出が、大きく振りかぶって「球」を投げた。印出の投げた球が宙に舞うと同時に、陣地の5基の機銃、そして無数の小銃が一斉に火を吹き、その「球」を弾丸が貫通した。
刹那、爆炎、そして爆風。陣地の兵士達は、その衝撃に怯む。
「室内でグレネードだとぉ!?」
印出が投げた「球」は、手榴弾だった。それも、普通のものよりも相当威力が高い。その爆発音は地下に強烈に響き、破片、爆風、爆煙、その熱は、バリケードから顔を覗かせ銃を構える兵士達をも襲う。
「あ…ああ…」
「あ!?」
うずくまった状態から顔を上げた統一戦線の兵士は信じられないものを見た。印出が、恐ろしい速さでこちらに走ってきている。印出が投げた手榴弾は、200m の彼方に居た印出と、統一戦線陣地の間で爆発した。そして今印出は、統一戦線の陣地の目の前にいる。自分で投げた手榴弾の爆発の中を、走り抜けてきたとい う事になる。この地下の通路で、他に道はない。爆発の熱、爆発の破片、爆発音、その中を走り抜けるなど、普通の人間はそんな事できない。自分自身がミンチ になる。木っ端微塵の肉片と化す。普通ならそうなるはずだ。
「隙ありぃいいい!!」
叫び、印出は、天井ギリギリの高さまで飛び上がる。厳重に作られたバリケードを飛び越えながら、両手に持ったマシンガンで、バリケードの内側にひしめき合う 統一戦線の兵士に弾丸をばらまいた。統一戦線の兵士は状況を理解できないままに死んでいく。弾丸にズタズタにされた肉の塊と化していく。頭がスイカみたい に割れる。弾の衝撃で体が踊る。血がとめどなく流れ、床で他人の血と混ざり合う。床は血の海である。
突破口を開いた印出に続いて、残りの山犬部隊も、バリケードを叩き壊し、組織的抵抗能力を失った陣地に突入してくる。二神島統一戦線基地の最後の砦が陥落した。
バリケードの奥に控えていた兵士が抵抗を試みるが、地形に守られた戦い方でないと、常人に山犬の相手は務まらない。印出はもう銃を撃つまでもないと、小型ナ イフを煌めかせて、銃を乱射するくらいしかできる事のない統一戦線の兵士の喉元を次から次へとかっ切っていく。この連中は、むしろ陣地の最前線に居て印出 の最初の不意打ちで撃た
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