第二話 不穏
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長岡は、目の前の女が、かの東機関の長であるという事を、ようやく実感し始めた。
女だ。外見も、やさぐれた女ではなく、むしろキッチリとスーツを着込み、髪はキュッと上段にくくり、清潔な身なりだ。
しかし、激しい。口調ではなく、ゆったりとした話し口の中にも威圧感がある。何故だかは分からないが、とにかく、気圧される。
「詳しい二神島の敵本拠地のデータは後ほど送ります。また、増員として……」
「少し待って下さい」
上戸の言葉を、田中が遮る。上戸は表情を崩さず「どうぞ」と。
田中は咳払いをして、質問をぶつけた。
「我々単艦で、あなた方は、仮にゲリラとはいえ、無人島に根を張った根拠地を潰してこいと仰られるのですか?無茶です。我々はまだ訓練航海すらしていない。戦力も足らなければ、練度も足りないんです。他に護衛艦も強襲揚陸艦も我々海軍にはあって、そこで何故我々が……」
「あなた〜、与勝基地で襲いかかってきた〜、敵をご覧になったかな?」
今度は、白川が話を遮った。
「はい、とても見た事が無いような、化け物のような敵でした」
白川は何故か、嬉しそうに顔を歪める。
「今度の敵は〜、あいつらなんだよねぇ〜。あいつら〜、統一戦線だったんだよねぇ〜。」
田中と、今度は長岡も血相が変わる。与勝基地を強襲したあの人型。基地陸戦隊を嬲りに嬲ったあの人型相手に、今度はこちらから攻めていくのだと、この二人は言っている。
「あんな感じの、超技術のシロモノを彼らは抱えているんだよ〜。まあ、先日のものは、我々が作った叢原火の相手じゃあなかったけどねえ」
白川はまた、何故か嬉しそうである。長岡と田中の二人にしてみれば、この老人の態度には神経を逆撫でさせられる。
「と、いう訳でさ、君ら、我々陸海軍の技術の粋を凝らしたビックリドッキリメカじゃないと、駄目なんだよ、うん。対抗できない。いや〜、叢原火はもっと量産して欲しいんだけど中々予算がねぇ〜。君らに渡してるので、あれ全部なんだよねぇ〜」
「……つまり、我々以外では太刀打ちできない相手である、と、そういう事でありますか。…………素人同然の我々以外には太刀打ちできない相手である、と」
皮肉を効かせながら確認した田中に対しても、白川はムッとするどころか、目を輝かせて
「そーいう事!何だ、出撃したくないとか駄々こねてたからもっと話が分からん奴だと思ってたよ!
安心したまえ!建御雷は、あれは海軍特派が造ったとは思えん出来の優秀な素晴らしい兵器だ。まだ研修をこなした程度の素人同然の君たちでも勝たせてくれるさ!」
長岡の手が震え始めている。その眉間に皺が寄っている事に、どうやら白川は気づいていないようだ。
上戸が、コホン、と咳払いをして、場の雰囲気を直す。
「
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