第3話 喧嘩終われば今日からダチ公!男の鉄則に常識は無用!
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ちゃんに喧嘩を売る奴ってのは余所者だな? あんな破廉恥な絵柄を男の勲章とも言えるデコトラに塗りつけるとは趣味が悪い奴だ」
祖父は横目で趣味の悪いデコトラを睨んでいる。そのデコトラを運転していた男もこれまた趣味悪そうな男だった。
此処で書き記す程の外観じゃない位の男だったと言える。
その男もまた同様にこちらを睨んでいる。そして、主室に級ハンドルを切って体当たりを始めたのだ。
車体と車体がぶつかり合い火花を散らす。祖父のデコトラに多少の傷が出来上がってしまった。
「舐めるんじゃねぇ! この道うん十年のこの爺ちゃん相手にそんなしゃばい攻撃でどうこう出来る訳ねぇだろうが! 本当の喧嘩ってのはこうやるんだ!」
お返しにと祖父もまた急ハンドルを切った。祖父が運転していたデコトラの体当たりは、趣味の悪いデコトラのそれとは比較にならない程に強力な一撃であった。
たった一撃のそれを食らっただけで趣味の悪いデコトラはバランスを崩し、やがてコースアウトし横転してしまった。
そんなデコトラを尻目に祖父の運転するデコトラは悠々と走り去って行く。
「はっはっはっ! どうだ、爺ちゃんは強いだろう?」
「すっげぇ強いよ爺ちゃん! 僕も爺ちゃんみたいに強くなれるかなぁ?」
「なれるに決まってるだろうが。お前はこの爺ちゃんの孫だぞ? なれない筈がない! 絶対になれる。その為にもいっぱい強くなる努力をしろ! いっぱい喧嘩をして、いっぱいダチを作れ! それが真の漢になる道なんだからな!」
そう言ってくれた祖父の顔はとても輝いて見えた。その祖父の顔を、番は今でも覚えていた。
***
「あれから……もう11年も経つのか」
【中々漢気のある爺さんだったんだな】
「あぁ、あんなに強くてカッコいい爺ちゃんだったのに、数年前に逝っちまってな」
何所となく寂しげな表情を見せる番。普段の番なら絶対に見せない表情でもあった。
【出来る事なら、俺もその爺ちゃんって男と一回喧嘩してみたかったな】
「あぁ、俺もだ。だけど、今の俺が爺ちゃんと喧嘩したって、多分足元にも及ばないだろうな」
【何時になく弱気じゃねぇか、普段から強気の番とは思えない言い草だな】
「それだけ、俺の爺ちゃんは強かったのさ……俺の憧れであり、俺の夢でもあった存在……」
そう言い、番は青い空を見上げた。かつて祖父が運転するデコトラに乗り見上げたのと同じ青い空を。
第3話 喧嘩終われば今日からダチ公!男の鉄則に常識は無用!
その日、地球にまた別の光が流れ落ちていく。だが、それはゴクアク星人の手下とはまた違った光であった。
果たして、その光は一体何なのか?
それはもう少し先で分かる事でもある。
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