第一話 接敵
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すね、機動甲冑>
「さすがに相手も、小銃は通用せんと見て、中距離からの対戦車ミサイルや迫撃砲に切り替えたが…」
二機は、その場を飛びのいた。至近距離にグレネードが着弾して爆発が起こる。
「無駄だ。二時の方向に三人。殺せ。」
指揮官機に乗りこみ、そのコクピットで和気がニヤッと笑う。笑っているが目は笑っていない。
次の瞬間、和気の顔から笑みが消え、和気は自機を始動させてその場を飛びのいた。自分と話していた奴の機体の胸部に大穴が開き、木っ端みじんに吹き飛ぶ。
「何…一撃か。遠距離の火砲支援…だと」
――――――――――――――――――――――――
「命中、第二射、徹甲弾装填」
遠沢は、基地の隅の高台に配置した頽馬の射撃手で、背もたれ横から引っ張り出した照準機を覗き込みながら、手元の計器を操作し、それに伴って頽馬の30cm電磁重砲に次弾が自動装填される。
相変わらずその声は無機質。抑揚がなく、
しかし、それでいてはっきりとした声だ。
機内通信越しに、その声を頼もしく聞いているのは、頽馬の操縦席及び建御雷陸戦隊の司令席に陣取った有田である。
「遠沢、左133°、友軍に一機近づく」
<はっ>
操縦席からの有田の声に短く答え、遠沢は砲塔をぐる、と回した。照準ディスプレーに映る景色が横にぐん、とブれ、そのブレた景色の中に、ローラースケートでもしてるかのように走行する人型兵器が見えたように思えた。
見えたように思えた、その瞬間には既に手元の引き金を引いていた。
――――――――――――――――――――――――――
ドゴォッ!!
また一機、敵が吹き飛ぶ。遠沢の狙撃は、最も熱量の高い動力部を寸分の狂いなく撃ち抜いていた。
基地最深部からの狙撃に、敵は散開し、建物の影に隠れながら、頽馬の陣取る高台を目指す。
低く身を屈め疾走する。
しかし、頽馬の射線から外れる背の高い建物に沿ったコースを走ったその先には、90式戦車が砲を、向けて待っていた。
ドン!ドドン!!
90式の二門の155mm滑空砲が次々に火を吹き、徹甲弾が人型兵器を貫いて関節をバラし、胸部を貫きエンジンに火を吹かせ、またはコクピットまで達した鋼鉄の槍と装甲板の高温溶融物、破片がパイロットに襲いかかり、息の根を止めた。
「当たりやな。」
戦車隊からの報告に、有田がつぶやく。
また、戦車隊が配置されていないルートにおいては、有田の指示で基地の兵士が地上1mにワイヤーを張っていた。
高速移動していた先頭の人型兵器がそれにかかり転倒し、ワイヤーに気づいた機体は急制動をかけ一瞬動きが止まる。
待っていたとばかりに兵士が建物から飛び出し、バズーカと対戦車ミサイルをそれらに殺到させる。
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