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生きるために
プロローグ
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とやかく言う台詞でもなければ、人間として何かを殺傷しなければ生きる事ができない極悪な生き物として自分を肯定するしかない。
そう考えると結構、気楽になってき、そして辺りを見回す。
探す人がいる。
激戦の中、別れてしまった人だ。その人は数分歩き回ったらいた。

全身が自分の血で塗れた師匠であったが。

既に呼吸はひゅー、ひゅーとおかしな音を出しており、血は彼が座っている辺り一帯を染めている。
致命傷であることなど見慣れていてるが故に覆せない結論であった。
手当など間に合わないことは本人も解っているだろう。その事を教えたのは彼でもあるのだから。
師匠は死ぬ寸前でもそこまで絶望しているようにも見えず、どうするのか、と自分が師匠の前で立ち尽くしていたら彼が声をかけてきた。

───意外か?

自分が死にかけているのが、と。
むしろ、その問いかけが自分にとって意外であった。
損得関係で動いている傭兵である……とは思ってはいなかった。
損得で動くならばこんな敗北決定の陣営に幾ら金があっても入るわけがない。スリルを楽しみにしても師匠の表情がそんなのを物語った事が一度もなかった。
そして、よくある正義感みたいなものであるなら自分の師になることなどしないだろう。
だから、自分はこの男は自分には埒外の自分で完結した思想を持って、闘争を望んでいる一種の求道者のような存在だと思っており、だから今際の際とはいえこんな人間的な問いを語りかけてくるとは思わなかった。
だけど、その問いかけられた質問自体には自分は首を横に振ることによって答えた。
確かに、この男は強さで言えば間違いなく、トップクラスであり戦場を駆け抜けた今の自分でも勝利のイメージは湧かない。
強さのみで言えば傭兵などという腐った職業に就くような器ではないと何度思ったことか。
しかし、それとこれは別であった。
戦場においての唯一絶対の平等───どんな人間でも死ぬという絶対論理。
生まれたばかりの乳飲み子も、清廉を極めた聖人も、汚濁を煮詰めたような悪人でも、あらゆる性能がチートな人間でも三分クッキングみたいにここでは死ぬ。
特別などない。
余り、覚えていないが三国志の英雄という戦場で輝く星ですら死んでいったのだ。だから、師匠が絶対に死なないとは思わない。
不死身の人間などいない。不死身の怪物などあってはいけない。
戦場で生き残るというのは技術云々もそれはあると思うが、一番大きいのはやはり、運だと自分は思ってる。だから、生き残った自分はもうこれからの人生に運を期待するのは間違っているだろう。
その答えに師匠はそうか、と呟くだけであった。
彼の幕引きは近い。
ここまで持っているのは奇跡に近い鋼のような魂を持っているから。
どういう人生を彼が送ったのかは知らないし、興味も
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