プロローグ
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生れない。
───故に両腕に来た衝撃が己のこれまでの人生への終止符であると悟った。
それ以降、恐らく買い取った大人からしたら予想外なのだろう。
自分は生き残った。
同じ境遇の兄弟とも言ってもいいかもしれない仲間は九割死んだ中、自分は生き残り、摩耗していく。
そして、そこで自分はようやくここが異世界であり、魔法というものが存在し、自分が人手が足りないという理由で攫われたという事を説明された
異世界はともかく魔法という言葉は聞いた瞬間に思わず鼻で笑い飛ばそうかと思った。
笑わせる。
魔法というのはおとぎ話にある人を幸せにするモノ……などと口が裂けても言わないが、少なくともこんな簡単に人の手に収まるような奇跡ではないだろう。
人の手で私利私欲に使われるものは魔法ではなく、ただの科学というものだ。
故にその傲慢を自分は嗤った。その傲慢を嗤う権利がない自分も含めて。
その今でも思ってしまいそうなロマンチック思考に大爆笑しそうになるが記憶は続く。
自分は価値有りだとされたのだろう。
そこで、一人の男と出会った。
翻訳魔法を使って紹介された人間は傭兵という事らしい。
地球のそれも今の環境からすれば楽園のような日本からしたら、ゲームの中にいるような職業。
最早、笑い飛ばす事が出来ない事が出来の悪い冗談のようであった。
その男はどうやら自分の教育をする係りとなったらしい。
自分のようなお荷物を抱えるのに、彼は別に嫌そうな顔はしなかった。笑いもしなかったが。
男は名乗らなかった。
ただ、与えられた事をこなす人の機能を限界まで行使しつつ、人間性を極限にまで排除したかのような精密機械。
故に自分はそれでは答え辛いので、師匠、とただ呼んだ。本人はそれについても何も言わなかった。
男は教えた。
自分に戦う術を、生きる術を叩き込んだ。
教えられる自分からしたら生き地獄に、もう一つの地獄を追加されたかのような日々。
それでも構いやしなかった。
『約束しよ? 帰ってきたら遊ぶって』
煉獄に落ちている自分が今でも唯一思い出せる光明。
光すら刺さない無明の世界で、唯一の星の如き記憶。
それのみを光源として生きてきたから、それ以外を考える余裕がない。
故に疾走している最中に他を振り返る気力なぞなかった。
そして、師匠はそれについて何も言わなかった。
必要以上に自分に関わらず、ただ、非常に特徴的な十字型の巨大な大型重機関銃型デバイスを持って戦うだけであった。
その印象的な十字架を背負う姿が罪人のようだと思って自嘲した。
そして、戦争は終わった。
それは凡そ二年くらいであった。
そもそもの話、戦争はすでにこちら側に不利であった。
当然だろう。人を、それも子
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