暁 〜小説投稿サイト〜
星の輝き
第7局
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あんな思いはしたくないんだから…。」
 照れくさそうにそう答えるヒカルに、にこりと微笑む佐為。
−ヒカルがそう考えてくれるのは、私もとてもうれしいですよ。そしてそのために考えて動いてくれるのも。前回のとき、私とヒカルが打っていた時には何も問題は起こらなかった。ヒカルが他の人たちと打つようになり、私にも機会を見つけては他の者と打たせてくれるようになった。それから徐々に私の様子がおかしくなることがあり、私は消えてしまった。ヒカルの考えはそうでしたね。
「…ああ。…オレが打つ碁の中だけにこっそり紛れ込んでな。きれいさっぱり消えちまった。でも、今回はうまく行ってる。前は二年半くらいで消えちまった佐為が、もう倍以上経つのにぜんぜん大丈夫なんだ。このままうまく”最後の日”を超えることができたら…。」

−…超えることができたらどうなるのですか?
「え、いや、それは…、俺にもよく分からないけど…。」
−私はヒカルと打つことで強くなりました。そして、ヒカルも私と打つことで強くなりました。しかし、まだまだ神の一手には遠い…。ヒカル、このまま私たちだけで打ち続けて、神の一手にたどり着けると思っていますか?
 まるで対局時のような鋭い眼差しの佐為に、ヒカルは息を呑んだ。
「で、でも、あ、そうだ、あかり、今回はあかりもいるじゃん。今はまだ力が足りないけど、あかりは前回とは比べ物にならないくらい力をつけてる。このまま三人でがんばればいずれきっと…。」
「ヒカル…。」
−…無理ですね。それでも届かない。それにヒカル、気づいているのでしょう?私たちはあかりと何度も打ってます。それでも私は消えていない。
「そ、それは、あかりは身内だからだよ!だから大丈夫なんだ!」
−結局何の根拠もないのですよ、ヒカル。なぜ私が消えてしまったのか、どうしたら今の私が消えてしまうのか、何も分かっていない。
「で、でも!」
 必死に言い募るヒカルの前に、佐為はゆっくりと語りかけた。
−しかし、何か私は流れを感じるのです。

「…流れ?」
−ええ。以前の私は、消えるのを怖がっていたといっていましたね、ヒカル。
「…後から考えてみればってやつなんだけどな。当時のオレは気にも留めてなかったんだけど…。」
−そして、以前も今も、ヒカルは私に消えてほしくないと思ってくれていますね。
「当たり前じゃんか!」
「わ、私も、佐為が消えちゃうなんていやだよ!」
−ありがとう、ヒカル、あかり。今の私もそうです。消えたくなどはない。まだまだ碁を打ち続けたい。そして、不思議なことに、今の私には何の不安もないのです。むしろ毎日が楽しい。ヒカルやあかりと碁を打ち、ともに碁を学べるこの毎日がとても楽しい。
−…ただ、先日、違和感を感じました。ヒカルと塔矢アキラの出会いに関してです。ヒカルは最
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