第12話 アスターテ会戦再び
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故に、彼は動かなかった。
・・・・・
劣勢にあるにも関わらず何の動きも見せず粘り強く応戦するオリアス艦隊に、ウィンディルムとブルーナは逆に焦りを募らせていく。
両名はオリアスが劣勢を挽回するため何らかの手を打って来るのを予測し、後の先を取るつもりであった。
ところが、蓋を空けてみればオリアス艦隊は一向に動かない。
本来なら、それは喜ばしいことであるが、どこか釈然としない……。
艦隊指揮官としての実力はオリアスの方が上であるというのも、彼らの不安を増大させた要因の一つだろう。
結果、ウィンディルムとブルーナの両名はそれぞれの艦隊にオリアス艦隊中央への砲撃密度を上げる命令を下した。
オリアスが中央の指揮に専念せざるを得ない状況を作り出すことで、両翼に効果的な指示を与えられなくなることを狙ったのである。
「あのまま順当に推移していればこちらが不利だったが、どうやら上手くいったようだな」
そうオリアスはほくそ笑み、新たな命令を下す。
「第二段階へ移行しろ」
「はっ、第二段階へ」
銀河帝国軍の攻撃に耐えかねたのかオリアス艦隊の中央が崩れ出し後退していく。
「敵が崩れました」
「よし、今が好機だ。全艦突撃!」
この気を逃すまいとブルーナ艦隊副司令官であるカルタス中将の部隊3000隻が追撃を掛ける。
だが、これはオリアスの仕掛けた罠であった。
オリアスは意図的に後退することで被害を軽減させると共に、カルタス分艦隊を凹陣に引き込んで集中砲火を浴びせ掛けたのである。
「戦艦モントリオット撃沈。副司令官カルタス中将戦死!」
「してやられた……これがオリアスの狙いか! だが、依然兵力では此方の方が上だ。このまま押し切る」
「十時方向に新たな敵、数2500!」
「何? 敵の別動隊か!?」
それは、ロアキア軍の増援として駆け付けたアルダムス艦隊であった。
「殿下、ご無事ですか?」
「ああ、よく来てくれた。これで対等に戦える」
この時点で、オリアス艦隊は約15500隻。
銀河帝国軍は約21000隻。
アルダムス艦隊が加わったことでロアキア軍は18000隻となり、兵力差は3000へと縮まった。
「ここまでだな……ウィンディルム、卿はどう思う?」
『私も同感だ。あのオリアス相手に僅か3000隻程度の優位でぶつかろうとは思わんよ』
「卿もそう思うか。損害こそ甚大だったが、オリアス軍の主力を引きつけるという戦略目標は達している。これ以上の戦闘は無用だな……全軍に撤退を命じろ」
宇宙暦807年/帝国暦498年7月19日午後2時10分。
銀河帝国軍の撤退を以ってレイスナティア星域の会戦は終結した。
ロアキア
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