第一章〜囚われの少女〜
第四幕『王宮』
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る。素顔が見えないとあれば、自分が自分だと言っても皆疑うだろう。そうして富だとか名誉、信頼や愛する者――持っていたものは全て失ってしまう。死ぬまで消えない呪い。
――
その呪いはなぜだか私に被せられた。私は偽りの姫――レナ姫となった。私は姫ではない。
それは夢の中で何度も見た、体中がこわばるほどの悪夢。
「そう――レナ姫の仮面を被っているのは、私」
私が、レナ姫の名を語る、全くの偽物なのだ。
「……私は、こんなこと望んでいない……」
分身――そう呼ばれた人物は、私と同じ顔をしている。
(では、なぜ! その人物と私は同じ顔なの?!)
姿見に映るのは、青ざめた姫の顔。
「あぁ……顔の皮を剥がれて、別の顔を貼り付けるという……罰なのですか?! そんな、むごいこと!」
(私は何の罪を犯したというの? 罪を犯したのはその人物……!?)
その人物が、全くの赤の他人であるなら、この顔、またはその人の顔は人工的に作られたもの――想像するだけで身の毛もよだつ、おぞましい物だった。
「なぜなの?」――全くの赤の他人ではないという事もある……?
「全く同じ顔の人間が存在するなんて……そんなこと聞いたことないわ」
生まれたこと自体が罪たる所以であるならば――「それならば、私も同罪」――姫は両の手で短剣を握りしめていた。
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