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とあるの世界で何をするのか
第二十話  身体検査(システムスキャン)
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ー玉を動かす。実は、全てのビー玉がまるで一枚の板のように動くのをイメージすると結構簡単だったりするのだ。

『なかなかね。それじゃあ、好きなように動かしてみて』

「はい」

 返事だけは普通にしたものの、どう動かしたらいいのか全然分からなかった。好きなようにと言われたのだからどう動かしてもいいのだろうが、間隔を維持したまま回転させるには部屋の横幅が足りないし、部屋の高さもそれほどないので立てることも出来ない。

 時間にして数秒、もしかしたら10秒くらいは経っていたのかもしれないが、ようやく一つの結論にたどり着いた。好きなように動かせばいいのだから、間隔を維持する必要が無いのだ。

「もうちょっと待っててください」

 一言声を掛けてから能力のプログラムを組み始める。プログラムと言ってもコンピュータを扱うというようなわけではなく、能力を使う手順の設定をプログラムと呼んでいるだけだったりする。要は、一つの指示である程度まとまった動作を行えるように、俺の頭の中で事前に組み上げているだけである。

「それではいきます」

 一通りプログラムを組み上げると、俺は空中に浮かせたままだったビー玉を動かし始める。イメージとしてはブラスバンドなどで演奏しながら行進して隊列を変化させていく感じである。ただし、ブラスバンドの陣形と違って前後左右だけでなく上下の空間も使えるので、3Dの陣形を考えるのはなかなか大変だ。

 ビー玉が1万個もあれば数量的に困ることは無かったので、陣形を組み替えながら色々な形を作っていく。最初は平面状に並んでいたビー玉を波のように動かし、次に奥側から手前に向けて津波が来るような感じでビー玉を集め、そこから一本の道筋を一列に並んでビー玉が流れるように動かし、部屋の中央から放射線状に広げ、それを風車のように回転させるなど、時間にしておよそ2分ほどだがなかなか上手く仕上がったと思っている。ただ、前後左右の移動に対して上下方向の移動は単調だったかもしれないのだが、この短時間で上下方向まで考えて作りこむのは難しい。

「こんな感じでいいですか?」

 俺がビー玉を床の上に戻してから10秒ほど、上の部屋からは何も反応が無かったので声を掛けてみた。

『あっ、いいわよ。それじゃあ、帰る準備が出来たら玄関で待っててちょうだい』

「はい、分かりましたー」

 どうやらこれで身体検査(システムスキャン)は終了のようだ。取り敢えず服の並べられて部屋へ行き、更衣室で柵川のセーラー服に着替える。持って帰る服のほうは、鞄の中に元々ノート一冊と筆箱しか入ってなかったので、男性用制服とここで貰った2着の女性用の服の全てを何とか鞄に押し込むことができた。

 部屋を出て玄関に向かうと既に女性担当者が待っていて、ちょっとした
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