第二十話 身体検査(システムスキャン)
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「いや、帰りは学校に寄らないといけないんで……」
今回この研究所へシステムスキャンに来たのは、学校の計測装置では計測できないからであり、ここで出た記録は俺が学校へ持ち帰らなければならないのだ。そして、このシステムスキャンは正式な学校行事なので、学校に戻る時は当然制服でなければならない。
「あら、そうなの。それなら……あ、確か柵川の制服は……あった。よし、これもプレゼントするから今日はこれを着て帰りなさい。それから、今後のシステムスキャンは女の子の状態でやってもらうから、そのつもりでね」
「は……はぁ……分かりました……。ありがとうございます」
余程俺に女の子の姿で居させたいのか、柵川中学のセーラー服一式まで持ってきた女性担当者に、俺は呆然としながらお礼を言うことしか出来なかった。
「それじゃあ、次の計測に行くわよ」
「……あ、はい」
言うことだけ言ってさっさと部屋を出て行った女性担当者に慌ててついていく。プレゼントされた服は、最初に着てきた柵川中学の男子制服とともに更衣室のかごの中へ入れておいた。
案内された部屋はそこそこ広い部屋だった。学校の教室の数倍はあるだろうか、天井の高さも普通の教室の倍ぐらいはあるように見える。
良く見ると部屋の床一面に等間隔でビー玉のようなものが置いてある。縦横ともに100個ずつ並んでいて、合計すると1万個が並べられているのだ。
「今回はこのビー玉を動かしてもらうから。できれば全部同時に、無理なら出来るだけたくさん動かしてもらえるかしら」
「はい、分かりました」
最初に行った鉄の塊を持ち上げたのは、1個に対してどれだけ能力が発揮できるかの測定だったのだろう。それに対して今回は、どれだけ多くのものが制御できるかの測定のようだ。
「それじゃあ、上から指示を出すからお願いね」
「はい」
どうやら廊下の上にあたる部分が能力測定観測用の部屋になっているようで、女性担当者は階段を上がっていく。
『それでは、まずは全てのビー玉を目線の高さまで持ち上げてみて』
上の部屋に入った女性担当者の声がスピーカーから響く。
「はい」
俺は指示された通りに全てのビー玉を目線の高さまで持ち上げる。1万個もあるので合計すると重量もそこそこあるのだろうが、それでもせいぜい30kgといったところだろう。1個ずつ個別に演算をしなければならないことを除けば、一辺20cmの鉄の塊を持ち上げるよりも楽である。
『おぉ〜』
スピーカーを通して感嘆の声が聞こえる。どうやら男性の研究員もちゃんと居るようだ。
『えっと、それぞれの間隔を維持したまま上下左右に移動できる?』
「はい」
言われた通りビ
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