第二十話 身体検査(システムスキャン)
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指差したのは50cmサイズの鉄の塊である。前回は1mほど持ち上げたところで終わってしまったが、今回はどのくらい持ち上げられるだろうか。
「はい、それでは行きます」
返事をしてすぐに持ち上げる。前回の時は能力開発直後で能力の使い方も良く分からず持ち上げたのだが、今回は能力の使い方もかなり分かってきているので、そこそこ持ち上げることができそうである。力を掛ける場所、力の掛け具合、演算の維持など、能力のコントロールに関しては慣れた分だけ以前よりも自然に調整できるようになっているので、それほど苦もなく10mほどの高さまで持ち上げられた。
持ち上げるのは簡単に持ち上げたのだが、そこから指示通りに左右へ移動させたり回転させたりすると、すぐに能力の出力がおぼつかなくなって高度が下がり始める。さすがにこれだけの重量があると高度を維持したまま移動させるのは難しそうだ。
微妙に高度を下げながら言われた通りの作業をこなし、作業が終わる頃には高さが1m程度まで下がっていたのでそのまま降ろした。演算のほうは全然問題なく続けられるのだが、5000万に設定した能力強度ではこのぐらいが限界なのだろう。
「はーい、お疲れー。次の計測は別のところでするから、その前に服を選んじゃいましょうか」
「あぁ……はい」
能力を使って脳が目一杯疲労しているところへ有無を言わせぬ圧力を掛けられたため、拒否することもできずに頷いてしまう。ただ、体力的な部分に関しての疲労は全くと言って良いほど無いので、女性担当者について行くのはそれほど苦にならない。
「さ〜て、どれが良いかな〜」
服が並べられた部屋に到着するなり、女性担当者は俺の服を上機嫌で選び始める。
「よーし、これとこれ。さー、着替えてね」
服を選んでいた時間は1分あったかどうか、すでにコーディネイトは決めていたのか結構なスピードで選び終わると、選んだ服を手渡して俺を更衣室に押し込んだ。渡されたのは、キャミワンピースと言うタイプだと思われるものと、カーディガンだった。ワンピースは少し薄い水色で、切り替えのベルト部分の紐と肩紐が青になっていて、カーディガンの明るめの緑が、ワンピースの水色と合わせて爽やかな感じになっていると思う。
「着替えましたー」
ワンピースのベルト部分の紐を結び終えて俺が更衣室から出ると、女性担当者は緑のスニーカーを持ってきていた。
「靴下はそのままで良いから、靴はこっちにしてみて」
「あ……はい」
言われた通り緑のスニーカーを履くと女性担当者が何度か頷いた。
「即席で考えた割りにはまあまあ仕上がったわね。よし! それじゃあ、さっきまで貴方が着てた服とそれはプレゼントするから、今日はそれを着て帰りなさい」
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