第二十話 身体検査(システムスキャン)
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少置いてあったものの、シュシュや髪留めゴムのようなものが置いてなかったのでポニーテールにはできなかった。
「お待たせしましたー」
「あら……う〜ん、何て言うか、似合ってるんだけど……つまらないわねー」
着替え終わってすぐにそこそこのスピードで走ってグラウンドまで来たのだが、担当者の反応はあまり良くなかった。別に時間が掛かりすぎたとかではなく、どうやら俺のこの格好が気に入らないようだ。
「何か、変ですか?」
「変というわけではないのよ。ただ、おとなしすぎるって言うか、つまらないって言うか、無難すぎるって言うか、何か物足りないのよねぇ」
俺が聞いてみると、予想通り俺のファッションセンスに対する駄目出しのような答えが返ってきた。
「システムスキャンで来てるんですから仕方ないじゃないですか。それに、ウチは女性のファッションって良く分かりませんし……」
実際には女性として生きた時間も結構長いのだが、ファッションセンスなんて関係のないファンタジー世界での生活が結構あったり、部活の顧問の先生が用意してくれたステージ衣装がファッション的におかしいものばかりだったりと、女性としてのファッションセンスを磨く時間自体はそれほど多くなかったと思う。まぁ、この世界では女性化できるようになってまだ3ヶ月しか経ってないので、女性のファッションなんてほとんど分からないということでいいだろう。
「まぁ、その辺は仕方ないわね。それなら、あとでお姉さんが選んであげるからシステムスキャンが終わったらさっきの部屋に来て頂戴」
「いえ、別にいいですよ」
急に自分のことを「お姉さん」なんて言い出した女性の担当者に向かって、やんわりとことわってみる。こんな展開って、このあと着せ替え人形にされるイメージしか湧いてこないのだが……。
「子供が遠慮なんかしないの。い・い・か・ら、ちゃんと来るのよ?」
「は……はい、分かりました」
別に口調がおかしいとか顔が怖いとか、そんなことは全然なかったはずなのだが、女性担当者の言葉に恐ろしいほどの重圧を感じた俺は、結局了承してしまっていた。それを遠目で見ていた男性の研究員たちは「はぁ〜、まったく」とか「やれやれ」とか言っていたのだが、俺としては出来れば止めに入ってほしかったところだ。
「それじゃあ、始めましょうか」
「……はい」
態度がいきなり普通に戻った女性担当者に言われて能力の測定を始め、今回も20cmサイズの金属の塊から持ち上げる。そう言えば、最初に測定した時に消えてしまった金属の塊は、俺の異常な能力値のせいで宇宙空間まで飛んでいった、ということをアレイスターが言っていたと土御門さんから聞いた。当然、今回は宇宙空間まで飛ばすことなどなく、思
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