第二十話 身体検査(システムスキャン)
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
6月上旬、梅雨に入ってしまうとジメジメとした蒸し暑さに変わるのだろうが、まだ梅雨入りをしていないため乾いた風が心地よく吹き抜けていく。ツリーダイヤグラムの演算による天気予報では、この晴れ間は数日続いてそこから天気が下り坂になるらしいのだが、その時に梅雨入りが宣言されるかどうかは気象庁のさじ加減だとテレビで言っていた。
今日は身体検査の日なので、アニメ版をベースにした世界なら『とある科学の超電磁砲』の第一話にあたる日のはずである。クレープ屋『るぶらん』のオープン情報は見つけられなかったが、今日を過ぎると夏休みまでの間にシステムスキャンの日は設けられていない。そして、学園都市見学会も昨日から始まっている。
一応念のため、今日に限っては『学園都市製超能力』の値を『1つ』に設定してある。現在、『学園都市製超能力』に設定できる最大数は『9つ』になっているのだが、この数が増えている理由はまだ分からない。また、使える能力の数も300種類近くになっていて、現在進行形で増え続けているのだ。それはさておき、取り敢えず、今日の測定では自分の念動力だけあれば充分というか、他の能力があると測定に支障をきたすかもしれないので、一つだけに抑えているのである。
元々、レベルの高い能力者が少ない柵川中学では俺のシステムスキャンができないため、俺と他数名は外部の研究所でシステムスキャンをすることになっている。俺がシステムスキャンを受けるのは能力開発を受けた研究所で、到着すると能力開発をした時と同じ女性の担当者が出迎えてくれた。
「久しぶりね。いきなりで悪いんだけど、ちょっといいかしら?」
「はい、大丈夫ですよ」
女性の担当者がすぐに歩き出したので、俺は答えながら後ろについていく。能力開発の時には通らなかった廊下を進み、しばらく歩いたところで女性の担当者が立ち止まった。
「ここよ。入って」
「はい。……ん?」
女性の担当者に言われて入った部屋で俺が最初に見たのは女性用の服だった。というか、ハンガーに掛かった服が恐らく100着以上は並べられているのだろう。学校の教室ほどの広さの部屋は、まるでスーパーの服売り場のようになっていたのである。
「神代君は女の子にもなれるんでしょ? 上からの圧力があってそれについて調べたりとか研究したりはできないんだけど、女の子の状態で能力を調べるのは問題ないみたいだから、今日のシステムスキャンは女の子の状態でしてもらおうと思ってね」
どうやら女性化についての研究をできないようにちゃんと手を回してくれているようで、その点についてはその辺に浮遊しているナノマシンで見ているはずのアレイスターさんに感謝をしておこう。
「は……はぁ。まぁ、分かりましたけど…
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ