第1部武偵編
序章その名はscull
海賊モドキの青年
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声が聞こえた。
『お前のとるべき道は2つある。ひとつは何も聞かずに故郷へ帰り、全てを忘れ貝のように 口を噤むこと。そしてもうひとつは……我らと共に真実に立ち向かう事だ』
懐かしい。もう3年以上も前の記憶だ。
『い、いったい何が起こって……? それに、あなたは……?』
まだ何も知らなかった頃の無知な自分。そんな自分を導いてくれたのは……
『俺か? そうだな……今の俺の名は────』
〜 〜 〜
僕は何時の間にか覚醒していた。
「……ふわぁぁぁ……」
大きな欠伸を止めようともせずに、ベッドから出て眠っている身体を無理やり起こす。
大きく背伸びしただけで身体中からバキバキと若干嫌な音が響くが不愉快ではない。むしろ心地のいい寝覚めだと言える。
「久々に……懐かしいなにかを見た気がするけど……何だっけ?」
夢って不思議だ。ついさっきまでぐーすか寝ていて、その間ずっと見続ける筈なのに……思い出そうとするとこれだからな。
「……まいーや。早く朝ご飯食べて学校行こう」
今日は短い春休みを終えた久々の登校日だし遅れる訳には行かないよな。
「よし!」
心機一転して、今日からまた頑張ろう。
……あの人に早く追い付くためにも。
〜 〜 〜
『────キンケドゥ・ナウ。それが今の俺の名前だ』
『キンケドゥ……ナウ……』
『さあ、どうする?』
『……行きます。お母さんもお父さんも、皆死んでしまった。僕はなんでこんな事になってるのか……知らなくちゃ、知っておかなくちゃいけない気がするんです』
『そうか……じゃあお前は今日から俺たちの仲間だ。名前……教えてくれよ。何時までも“お前”なんて呼び方はしたくない』
『僕は……僕の名前は────』
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