空白の一年、亮編〜
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んだ、俺は。
「・・・ごめん。今はあんまり・・・一人に、させてくれない?」
「・・・ああ・・・」
思春がそのまま去っていく。・・・俺は左手で壁を叩く。
「何で・・・動かないんだよ・・・!」
俺は外の空気を吸おうと部屋から出た・・・時、丁度蓮華と鉢合わせした。
「「あ・・・」」
俺は蓮華から顔を逸らして去ろうとする。
「ま、待って!」
蓮華が俺の左腕を掴んだ瞬間・・・
「近づくな!」
反射的に腕を振り払えば当然・・・
「きゃ・・・!?」
蓮華がバランスを崩す。俺は咄嗟に手を・・・手を・・・出せなかった。
「うっ・・・!」
蓮華がその場に尻餅をつく。・・・俺の右手は・・・仲間の手すら掴んでやれない・・・
「あ、あ・・・ごめ・・・蓮華・・・俺、そんなつもりじゃ・・・う、うわあああああ!!」
「りょ、亮!?」
俺は絶叫しながらその場から逃げ出した。・・・そして、気がついたら辺りは真っ暗だった。
「ここは・・・何処だっけ?」
少ししたら崖に辿り着き・・・遠くに城が見えた。
「何処まで走ってきたんだよ・・・」
俺は呆れ気味に笑いながら星空を見上げる。
「・・・」
片手が使えないだけで色々日常生活に支障を及ぼす。・・・剣で戦うにしても遠心力で右手がぶらぶらして邪魔で戦えない。俺はただ身体に付いているだけの右腕を見る。
「こんな腕なんか・・・!」
剣を引き抜き、振り上げる。
「・・・ッ!」
そして目を閉じ・・・全力で振り下ろした。
ガキャンッ!
「(・・・ガキャン?)」
ゆっくり目を開くと・・・俺の右腕の手前に、見慣れた刀があった。
「・・・」
ゆっくりと目を持ち主に向けると、真剣な眼差しを俺に向けた・・・明命だった。
「今・・・何をしようとしたのですか」
声を聞いて明命が怒っていることに気づく。・・・何時もの俺ならすぐに謝っただろうが・・・
「・・・明命には関係ないだろ」
「・・・!」
明命が拳を握り締める。
「心配・・・したんですよ。蓮華様から亮が飛び出したと聞いて・・・」
「・・・誰が心配してくれなんて言った?・・・余計なお世話なんだよ」
「う・・・」
・・・なに馬鹿なことを言っているんだよ、俺は。
「私は・・・私は亮が好きだから・・・心配で・・・」
「同情なんてごめんなんだよ・・・!お前なんて・・・お前なんて・・・!」
駄目だ。言うな。勢いに任せるな。
「お前なんて・・・嫌いだ!」
「あ・・・」
・・・なんで、こんな心にも思ってない事を口にしてるんだ。
「・・・そう、ですか」
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