―理由―
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《ワンショット・ブースター》。遊矢少年が《貪欲な壺》によりデッキに戻したカードだが、準にとって最初に破壊した雑魚モンスターによって、自らの敗北が確定したようなものだった。
「スピード・ウォリアー、三度目の攻撃! ソニック・エッジ!」
「うわああああっ……!」
準LP800→0
準のライフポイントは0を刻んだものの、《狂戦士の魂》はその名前の通り自分では止めることが出来ず、魔法・罠カードが来るまで攻撃は続く。
「三枚目は……《奇跡の残照》だ」
三枚目に引いたカードは罠カード《奇跡の残照》であり、少し残念がっていながらも、遊矢少年は初デュエルにて勝利したのだった。
「……とまあ、こんな感じだったかな」
このデュエルから本格的にデュエリストになったり、デッキを真っ先に取り替えしたレイに懐かれたり、友人とデュエルしたりなど色々なことをした。やはり思い返してみると、あのデュエルが俺の転換期だったのだろう。
「……レイちゃんとの馴れ初めは後で聞くとして」
若干黒い笑みを見せた明日香が、俺のデュエルディスクから取り外していた【機械戦士】を取り出した。新たな機械戦士やシンクロ召喚により、一線から退いた機械戦士はいるものの、そのデッキのモンスターたちは長年愛用してきたモンスターたちが占めている。
「私も……ね」
明日香もデュエルディスクから【サイバー・ガール】を取り出すと、そのデッキを愛おしそうに見つめた。
「強いデッキじゃなくて楽しいデッキ……兄さんにそれを教わって、このデッキを作ったのよね……」
誰にだって自分が使っているデッキには思い入れがある筈で、好きなカードで勝ちたいという気持ちがある筈だ。俺はそれをいつも、デュエルをする前にいつも口に出しているじゃないか。
『楽しんで勝たせてもらうぜ』――俺の信条でありデュエルする理由を、俺は勝利にこだわるあまり少し忘れていたのかもしれない。【機械戦士】をデッキケースにしまい込むと、飲んでいなかった緑茶を一気飲みした。
「手伝ってもらって悪いが、明日香。【機械戦士】の大幅な改造は……無しだ」
「そうね……その方が、良いかもしれないわね」
俺は【機械戦士】とともに強くなっていく、そう決意していた初デュエルのことを思い出した今、他のカテゴリーを入れる気にはなれなかった。
この頃感じていた、俺はこのままで勝てるのかという迷いは晴れていく。そして、俺は【機械戦士】とともに楽しんで勝たせてもらう、ということを改めて誓ったのだった。
「それで遊矢、レイちゃんの話なんだけど……」
「……帰れ、明日香」
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