―理由―
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山で、捨てられていたカードを見つけた。どれもこれもステータスが低く、初心者の俺にも弱いと解るカード群たち。
「それが……」
「ああ、【機械戦士】だ」
友人たちのおかげで簡単なルール具合は知ってたし、適当に40枚集めて実家の手伝い放り出して、俺はそのまま町に出かけた。
そこで見つけたのは、またもやアンティデュエルの現場だった。今から思い返すと、何とも運が良い話だが。
アンティデュエルに負けてデッキを取られていたのは、当時面識は無かった、現在の妹分の早乙女レイ。彼女も《恋する乙女》デッキを、アンティデュエルで失うところだった。
そこで、俺が勝ったらみんなのデッキを返して、俺が負けたら家にあるデッキを全部やるって条件で、そのお金持ちとアンティデュエルをした。……もちろん、俺に家にはもうほとんどカードは無かったけど。
そこにいたレイからデュエルディスクを借りて、そのお金持ち……名前は何だったかな、覚えてない。……準ってことにしておこう。
「それって、万丈目くんじゃないわよね……」
「……もしかしたら、そうかもしれないな」
恐らくは人違い――というか中学生の時、万丈目は既にデュエル・アカデミアにいる――だが、準(仮)ということにしておく。そこで、俺と準(仮)とのデュエルが始まった。
それが、俺と早乙女レイと【機械戦士】との出会いで、俺のデュエリストとしての初デュエルだった。レイから、相手のデッキは《悪魔族》と《ドラゴン族》の、混合【ハイビート】デッキって聞いたが、当時の俺にはさっぱりだ。
「そのデュエルの内容、覚えてるの?」
「まあ、一応。細かいところは間違ってるかも知れないし、あまり気が乗らないが……」
とは言っても、これは【機械戦士】の改良の為に自ら始めたもので、明日香には付き合ってもらっている立場だ。【機械戦士】の為にも明日香の為にも、正直に思い返すしか無いだろう。
『デュエル!』
遊矢LP4000
準(仮)LP4000
――目の前には倒すべき相手と、後ろには守るべき少女、そして負けられない戦い。遊矢少年は、そのプレッシャーを楽しんですらいた。
「後攻か……」
基本的にこのゲームは先攻が有利ということを知ってか知らずか、デュエルディスクに表示された後攻の文字に少し残念そうな声を漏らした。
「先攻はくれてやるよ、初心者!」
だが、準は経験者故の驕りからその権利をあっさりと手放し、遊矢少年へと先攻を譲った。当然その心には負ける気などなく、ただの過剰な自信でしかない。
「オレのターン、ドロー!」
気合いを入れてカードをドローするものの、所詮はただ拾い集めただけのデッキであり、思うようには回らない。結果と
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