暁 〜小説投稿サイト〜
狂った私をお食べなさい
欠損主義者
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鞭で打たれたみたいに激痛でさ

顔がズッパ〜ンって
毛穴が肉片が細胞が
弾けて燃えてひとつになって
再び弾け飛ぶ痛さ

それは熱いなんてもんじゃない
グニャリなんてレベルじゃない


たぶん、もう、なにもない。


ぼくは無意識に発狂しながら
地面に転がったんだ。

転がった拍子に
おそらくコンクリートに
ザリザリザザザって

皮膚がこすれたと思うんだけど

そんな痛さなんて気にならないくらい
あついアアアアあついー。

あついーあついーあついーねーあついー

ママー

だれか

タスケテーボクをタスケテーあついよ

ぼくは
ものすごい声が出てたと思う

意味のわからない言葉も言っていた気がする

ぼくって
こんな声が出るんだなって
自分で自分にびっくり。

一瞬、
だれかが叫んでるんじゃないかと
錯覚してしまったけれど

それは間違いなく
ぼくの悲鳴で
これは間違いなく
ぼくの現実で
これがぼくが生きてきた
人生の結末で…

言葉も出せない。

顔の皮膚が
全部混ざった感じ?

ぼくは
今どんな顔してるんだろうね。

きみは
今どんな顔しているの?


いま、きっと一番美しい。

泣いてる彼女の声が聞こえたんだ。

「これで、他の女も寄ってこない。
もう、あたしだけのもの」

ってね。

でもぼくは
痛くて喋れなくてさ

立ち上がれなくて
おそらく顔が彼女の方に
ズリッて自然に動いたんだ。

そしたら多分、彼女は
ぼくの顔を見たんだと思う

彼女が
しばらく無言になって

「あっ…いや…ごめん別れよう」

って言い出した。

ぼくは顔が焼けて
声も出せなくて
目も見えなくて
わけわかんなくて

手探りで彼女の足を見つけて
すがりついたら

「やっ…そんな顔になったアンタもういらない。
やめて…離して…

…キモイヨ…」

…あぁ、そっか。

ぼくは
いつだか彼女のことは好きじゃなくて、
爪がない彼女のことが好きだと思った。

彼女も
或る意味、ぼくと同じ思考さ。

顔が無いぼくのことは
キモチワルイんだってさ。

彼女は
しがみつくぼくを
全力で嫌がった。

キモチワルイヨ
マヂキモイ
コワイヨ
アッチイケヨ
ハナシテヨ
ヤメテヨ
シネヨ

彼女は狂ったように
残りの塩酸を
ぼくにかけて

全力でぼくを拒絶しながら
全力でぼくを破壊した

焼けたぼくの目と鼓膜には
彼女の言葉も
誰かの叫び声も
彼女の叫び声も
救急車の音も
ぜんぶ、おなじに聞こえた

ぼくは
人と違うも
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