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狂った私をお食べなさい
黒い卵とぼく
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…このクソババア…
なめた真似しやがって

きっと母さんも
この卵を狙ってるに違いない。

そんなの許さない
誰にも渡さない

そうやって
どいつもこいつもあぁあぁァアァアァアァア
覚えてろよ

ぼくの邪魔したら
母さんでさえも許さない。

ぼくは
無我夢中で卵を貪った

歯応えがあって、
コリコリした食感だった。

飛び回る小さな卵に
囲まれている母さんは
なぜか青ざめながら
座り込んでいた。

どうしたんだ、このクソババア。
卵が手に入らなくて
落ち込んでいるのか?

ぼくは
勝ち誇った顔で

母さんに近寄り

「母さん元気出してね」

と言いながら
母さんの肩に手を置くと

母さんは
ぼくの手を振り払い
ぼくの顔を無言で見つめたあと

とつぜん、
気がふれたように泣き出した。

「あんた…なんでこんなこと…」

そう言いながら
泣いていた。

なんだよ、このクソババア。
と思いながら

飛び回る小さな卵たちを
ぼくは
ボーッと見つめていた

母さんは
飛び回る小さな卵の中で
ずっとずっと泣いていた。

…その夜
ぼくは夢を見たんだ。

ヒステリックな彼女…

そういえば
最近、会ってないなあ。

夢の中のぼくは
彼女とケンカをしていたんだ。

ヒステリックな彼女…

ぼくはイライラしてしまって
彼女を突き飛ばしたら
彼女が死んだんだ。

彼女は目を見開いたまま
動かなくなった。

ぼくはね、
パニックになりながらも
異様に興奮したんだ。

マンネリで飽きてきた彼女に
久しぶりにこんなに興奮したんだよ

こんな気持ちは久しぶりで

だからね、
彼女を抱いたんだよ。
そして、しばらく繋がっていたら
どんどん締まりが良くなってきて

彼女の体温は
どんどん無くなっていく

彼女の体温が無くなっていく瞬間を
ぼくは彼女の中で
しっかり味わった

何て貴重な体験だろう。

だけど
射精したあと、
なんとも言えない
暗い暗い感情になった。

ぼくは
彼女に添い寝をしてみた

「うそだよん」
って起きてくるはずもないのに

ちょっぴり
生き返ることを期待してみた。

でも今更
うそだよんって言われて
生き返ってきたところで

ぼくは彼女を
愛せる自信なんかないんだ。

もしかしたら、
いまぼくは
ホッとしてるのかもしれない

だけど
気持ちは深く深く
どんよりと真っ暗な闇で

ここから
どこに行けばいいの

ここから
どこに正解があるの

どんな結末でも
結局ぼくは

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