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魔王の友を持つ魔王
§49 終焉の刻
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は自壊――重力崩壊――を始める。これを引き金として、猛烈な核融合反応が起こる。――即ち超新星爆発が、始まる。

「ぶっつけ本番だけど、意外となんとかなるもんだ」

 形成しなければならない質量は膨大で。個人で瞬時にできる量ではとても無い。周囲の呪力をかき集め、冥府の呪力を総動員して出来るかどうか、と言ったところではないだろうか。そんなもの、一度放出してしまえば呪力が残る余地など介在しない。

「呪力たりねぇ身体が動かない……」

 肩を竦める黎斗だが、それが限界だった。次の瞬間、視界が暗転する。もんどりうって、倒れ込む。死者に近い黎斗の身体は、呪力が切れてしまえば動かせる筈もなく。

「あ、結構マジでヤバいかも」

「お義兄様!!」

 どーすんべー、などと思ってたところに現れるのは羅濠教主。黎斗の肩を抱き、膝の下に腕を潜らせ。

「……恥ずかしいんでお姫様抱っこは勘弁してください」

 色々酷い。有り得ない程の美少女にお姫様抱っこされるのだ。何もかもが台無しで泣けてくる。せめて立場が逆なら良かったのに。

「今のお義兄様は雑魚同然なんですから駄目です」

 流石にこの妹様の目は誤魔化せないらしい、などと思ったが自分の今の惨状を見て考え直した。一人で満足に立てない、こんな有様だと雑魚同然であることくらい誰でもわかるか、と考え直して苦笑する。

「げっふぅ…」

 現実逃避に見上げた空は晴れ渡り。破壊の痕跡を微塵も感じさせはしない。

「あ゛ー…」

 最善手はこれだった筈だ。チマチマ戦っていたらまず間違いなく被害は更に拡大していた。それはわかる、わかるのだが。

「周り、見たくねぇ…」

 鬱屈とした気分で顔を動かせば、冥王が踵を返す姿が視界に入る。ここで黙って帰る気か。魔術を駆使して念話を仕掛ければ。

――――何、ここは密かに帰るべきだ。そちらの方が趣があるだろう?

 そんな声が聞こえてきて。目立ちたがり屋と聞いていた割には……などと彼の評価が黎斗の中で若干の変動を見せる。

「主よ、遅れてすまんな。排除完遂につき戻ってきたが……この分だと問題は特に無いようだな」

「れ、れーとさん……?」

「あ」

 唖然とする恵那と頭を下げるジュワユーズ。おそらく頑張って走ってこちらまで来てくれたのだろう。それに対してこちらはお姫様抱っこをされている。なんか気まずい、どうしよう。

「!? 誰です!!」

 頭を回転させようとした矢先、羅濠教主の叱責が飛ぶ。瞬間、不可視の空圧がビルの残骸を粉微塵に粉砕した。

「けほっ、けほっ……」

 現れたのは、褐色の肌の黒髪の女性。例によって美少女だ。

「貴女は……」

 意外過ぎる人物の登場にアレクが、羅
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