§49 終焉の刻
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くる。掌に収束するのは、太陽の輝き。
「爆ぜろ」
破壊光線が、真君もろとも冥界を抉り消し飛ばす。
「さぁ、あとは貴様だけだ」
義兄弟たちは全て焼き滅ぼしたぞ、と暗に語る。
「くっ……」
斉天大聖は苦痛に顔を歪ませる。既に呪力は底をつき、満身創痍で得物も無い。唯一あるのは、不滅不朽の闘志だけ。
「まだ、抗うか」
黎斗の声に呼応して、彼の使役する神々が斉天大聖を標的に据える。
「……素晴らしい」
従属神の中で鬼神だけは感心したように鉄鞭を収め。
「天界総軍を相手にした孫さまを、舐めるな…!!」
そうだ。たかが二桁の神が何だ。命を預けられる義兄弟達は居ないけれど。幾重もの試練を勝ち抜いた如意棒は無いけれど。
「破魔の主、水羽黎斗。貴様の命を以て、我が英雄伝の終幕とせん!!」
高らかに叫び、疾走する。足下に転がっていた好敵手の得物を蹴り上げ、掴み取る。三尖刀を振り上げて。
「我が元に集え、死せる意志達」
その言葉を引き金に、黎斗の呪力が激増する。彼が生み出した存在が全て、呪力に変わり親に集う。
「ぬぅ!」
眼前で、何かイヤなモノが創られた気がした。逃げなければ、と喚く直感を意志で押さえつける。逃げ場など無く、距離にして一ミリ未満の場所にいる黎斗を倒すしか道は無いと悟っているから。
「星の生き様、その眼にしかと焼き付けよ」
黎斗の首に三尖刀が触れる直前、彼の声が脳裏に響く。彼の両腕に抱かれているのは、髑髏位の大きさの、暗く暗い渦巻く球体。急速にそれが大きくなっていく――
「爆ぜろ」
刹那、世界が弾けた。空間が歪む。冥界が軋む。破壊光線など歯牙にもかけない、破滅すらも粉砕していく崩壊に、あらゆる事物は消滅する。
●●●
「……ふぅ」
無、と言ってよい空間に、黒髪の一人の男が現れた。否、再生した。
「まぁ、こんなもんか」
敵の消滅を確認して、彼は切札たる世界の顕現化を解除する。瞬間、世界が鮮やかな色彩を取り戻す。不純物、廃棄物、あらゆるゴミを飲み込んで、冥界は縮小し消え去った。
「もしかして、やりすぎた?」
時間加速と過去への跳躍を駆使して時間を創り出す。それらの時間を全て、金属塊作成に費やす。膨れ上がる体積を圧縮、圧縮、圧縮。巨大な球体を縮小、縮小、縮小。巨大な鉄塊が形成されていく。球体の、途方もない質量をもつソレはやがて星を凌駕する質量を得る。そして、いずれその球体は己の質量に敗北する。すると、どうなるか。質量に負けた球体
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