§49 終焉の刻
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
重要なのは眼前の魔王を打倒すること。
「……ほう」
束縛された事実にも、黎斗には微塵の動揺も存在しない。自分の権能なのだ。対処法など、百も承知。
「無駄な事を。……まずは逃亡者に土産をやるとしようか」
黎斗の額が、光る。迸るのは世界を焼き尽くす超々高熱の熱線だ。大国主とシャマシュの権能で共有化したことにより、大国主のあらゆる権能が今の黎斗には使用可能となっている。だからこその、芸当。
「ぐっ……!!」
寸分違わず熱線は騎士の左肩を抉るように直撃した。それでも、軍神の速度に陰りは見られない。死地からの脱出を最優先にしているかのごとく。
「……逃げ切ったか。まぁ良い。私の目的は貴様らだ」
まんまと逃げおおせたランスロットはあっさり諦め、黎斗は対峙する神々を眺め渡す。破滅の呪鎖で束縛されているにもかかわらず、自分の優位を微塵も疑ってなどいないその姿勢に、流石の真君も冷汗を流す。これが、この場での最悪手だったことに果たしてどれだけ気が付いたのだろう。
「目には目を、歯には歯を」
「しまっ!!」
シャマシュの神託が、下る。其れはあらゆる事象を拘束する。斉天大聖が、二郎真君が、生き残った他の大聖達が、全員が破滅の呪鎖に囚われたかのごとく全身が拘束され身動きを封じられてしまう。
「天より降り注げ奈落の星々」
黎斗の声に合わせて、巨大化した不死鳥が雨霰と、熔解した鉄塊を投下する。無差別な一撃は黎斗をも一瞬で葬るが、彼は即座に再生を遂げる。連続で死に続けながら魔王は笑う。
「さぁ、どちらが先に逝くか根競べだ」
これは、不味い。確信した真君は残りの呪力を振り絞り拘束に抗う。シャマシュによる束縛は本家に劣る為、全力で抵抗すればある程度は身体の自由を得ることが出来る。だから、彼は仕切り直しを視野に入れ、この地獄から撤退をしようと試みる。
「残念だが無駄だな」
しかし、それも致命的に遅かった。黎斗の失笑が響き、彼は自分のミスを悟る。
「お前たちは逃がさない、と言っただろう」
冥界は、その強度を増していた。現世に死の気配が漂っている段階ではもはやない。世界を呑み込み、現世との繋がりを断ち切った空間と化していた。いわば、平行世界。幽世のように、生と死の境界のように、もはや彼らの居た場所は現世でも、現世に出現した冥府でも無く。
「ここは完全な冥界だ。逃げる場所など、どこにもない」
存在全てを呑み込んで。冥府は現世との繋がりを断ち切った。予想以上の最悪に、二郎真君は絶叫する。
「き、さまぁあああああああああああああああ!!!!!!!!」
「さぁ、終幕だ」
黎斗が、雁字搦めにされながらも手を向けて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ