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銀色の魔法少女
第二十六話 謎
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 警棒を握る遼に不用意に男が近づく。

 完全に子供だと思って油断していたからだった。

 そして、それが決定的だった。

「うん」

 遼はまず男の左足を打つ。

「ほい」

 痛みで足を上げたその隙に、もう片方の足を蹴り飛ばす。

 支えるものがなくなった男は頭から地面に落下し始める。

 そして、自ら近づいてきた男の顔面めがけて、思いっきり警棒を叩きつけた。

「がっ!」

 男は脳震盪を起こし、気絶する。

 それを見ていた他の男たちは懐から拳銃を取り出す。

「おい、動く――」

 けれど、遼の方が速かった。

「ん」

 高町家地獄特訓終了の記念に士郎からもらった鋼糸を右の男に、飛針を左の男の拳銃向けて投げつける。

 遼は右の男の首に鋼糸を巻き付け、引き付けると同時に自分も跳んで一気に距離を詰める。

 男は咄嗟に残った手で糸を解こうとするが、肉に糸が食い込んでつかめない。

「っつ!」

 左の男は飛針を手に受け、痛みで拳銃を落とす。

 距離が詰まった所で遼は力いっぱい警棒を、右にいた男のこめかみに叩きつける。

「ぎゃ!」

「…………」

 そして、遼は次の獲物に目標を定める。

「ひぃ!」

 その目は虚ろで、男の目にはとても異常に写ったかもしれない。

 実際は寝ぼけているだけだが。

「………………」

 遼は下を見ると、拳銃を拾い上げる。

 しばらくそれを眺めた後に、残った男に狙いを定める。

 男は慌てて拳銃を拾おうとして、遼から目を離す。

「このが、え!?」

 視線を元に戻したとき、そこに遼はいなかった。

 そして、えも言えぬ悪寒を感じて、ゆっくりと下を見る。

「……おい、嘘だろ」

 そこには、拳銃を掲げて自分の頭を狙う遼がいた。

「おい、嘘だよな、ガキがそんな――」

 乾いた音が一回。

 同時に男の頬に傷ができる。

 男は感じる。こいつは本気だ、と。

 しかし、それは全くの勘違いであったが、それは知る術もなかった。



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