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IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
第04話
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時の簪ちゃん程驚いた事はないわ。私の前ではいつもムスっとしてるんですもの。覗き見てた全てが新鮮だったわ」

とても優しい表情をしながら楯無は言う。

「だから、私は簪ちゃんに普段からああいう表情をして欲しいの。私の前でもそういう表情をして欲しいなんて、我が儘は言わないけど……」

そう言う楯無の表情は、とても寂しげだった。
この人は、本当に簪さんが大切なんだろう。だから、こんな優しい顔とか悲しい顔が出来るんだろう。だけど、何故だろう。この人が悲しい顔をしていると何故か心が苦しくなる。楯無さんの事情を知っているから?それとも、簪さんの心の中を知っているから?

そのどちらでもあり、どちらでもないのだろう。

この姉妹には笑顔でいてもらいたい。それだけで十分だ。小難しい話なんていらない。

そう思うと、勝手に口が開いていた。

「……大丈夫です、楯無さん」

「え?」

「簪さんは多分、楯無さんが考えてることを分かってます。だから、自分自身で進むために自分自身を作るために、俺に頼ったんだと思います」

楯無はだまってその話を聞いている。

「だから、楯無さんがそんな顔することは無いんです。簪さんは自分自身で歩き出したんですから、楯無さんは簪さんが楯無さんと向かい合う勇気が出た時の準備をしておかないと。簪さんと話すとき、二人共仏頂面だと大変ですから」

俊吾は力強い笑みを浮かべながら言った。

「楯無さんは大船の乗ったつもりでいてください。俺が何とかしますから」

そう言われた楯無は面食らったような顔をしていたが、下を向いてしまった。

「…………はぁ、情けないなぁ、私」

何かつぶやき上を向いた彼女はとても強い顔をしていた。

「ありがと、俊吾君。お陰で楽になったわ」

「そうですか。それは良かったです」

「あなたに簪ちゃんの事、任せてよかった」

まだ、何もしてませんけどね。

「それじゃ、私は戻るわ」

「分かりました」

楯無は外に出てドアを閉めるときに

「私があなたの言葉に救われたのは本当だから」

と言った。問いただそうかと思ったが、直ぐにドアがしまってしまい、聞けなかった。その時の彼女の顔はほんのり赤かったとかなんとか。

俊吾は、自分のベットに座った。すると、直ぐ部屋のドアが開き一夏が入ってきた。

「俊吾、話終わったか〜?」

一夏がそう言ってくるが、俊吾は応えない。一夏は直ぐに俊吾に気づいた。そして、こう言った。

「俊吾、顔凄く赤いけど大丈夫か?」

その後、俊吾が説明に色々戸惑ったのは別な話。


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