暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
第04話
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
していて気づかなかったが、簪の顔が横にあるのだ。それも10センチ先に。

「い、いや、何でもないよ」

緊張はするが、心を無心にすれば何とかなる。そう思い込んで、何とかコンソールの操作を続行した。

だが、意外にも回路が複雑で集中してしまい、簪が隣にいることなんてすぐに忘れた。

そのまま作業をすること30分。

「……ふぅ、取り敢えずこんなもんか…………」

「終わったの…………?」

「うわっ!」

すぐ隣で声が聞こえた為、俊吾は声を上げながら後ろに移動した。

「あ、ごめん……驚かせるつもりはなかった…………」

「あ、いや、こちらこそ、変に驚いちゃったし……ごめん」

あれ、俺なんで謝ってるんだ?まぁ、良いか。わざわざ言った謝罪の言葉を取り消すわけにもいかないし。

「そういえば、簪さんはずっと俺のコンソールの操作見てたの?」

さっきの状況を思い出し、率直な疑問を投げかけてみた。

「うん……少しでも参考になればいいと思ったから…………」

……意識が高いなぁ、この子。素直にすごいと思う。

「それで、参考になった?」

俊吾がそう言うと、少し口篭りながら言った。

「良く……分からなかった……やっぱり私は回路に向いてないみたい…………」

いや、あなたの本職はISを操縦することでしょう。自分でIS作ってるけども。

「まぁ、その何だ」

俊吾はコンソールを片付けながら言った。

「分からないことはそれでいいんじゃないかな。人間、誰しもが苦手分野ってのがあるわけだしさ。だから、そういうことがあったら誰かに頼ればいいんじゃないかな」

説教臭くなりそうだから、面と向かって言わなかったけど、正解だったな。今、凄い恥ずかしいし。まぁ、でもここまで言ったら最後まで格好つけないと……。

「俺は頼られれば絶対に助けるからさ」

俊吾は簪の方向に振り返りながら言った。簪はある一点を見つめており、俊吾の言葉を聞いてないように思われたが、少しすると

「うん……ありがとう……少し…………気が楽になった……」

「ま、今日の所は寮に戻ろう。時間も時間だし」

簪はそう言われ、時間を確認すると時計は6時半を指していた。外も既に薄暗い。
時間を確認し、忘れ物もないか確認して二人は整備室を出た。

「さて、鍵返して寮に戻るか」

「うん……」

しばらく二人で歩いていると

「あ……あの…………」

と簪が言った。どうしたと思いながら、俊吾は立ち止まる。

「大海君……ううん…………俊吾君……」

名前に言い換える意味はあったんだろうか……。いや、野暮なことはやめよう。
簪は言葉を紡ぐ。

「明日も……手伝ってくれない…………
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ