箱根 前編
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ったのだから疲れるのは仕方ないことだろう。
「さて、ちょっと私は出かけてくるわ。みんな瑠奈よろしくね」
「ああ、いいけど。大丈夫か?瑠奈この前姉さんがいなくて大泣きしてたじゃないか」
「その辺は大丈夫。アレから瑠奈は私がいなくても泣かなくなったから」
「へー、そんなもんか」
あっさり納得知るのを見終わると、千李は部屋のふすまを空け皆に言った。
「一時間もしないうちに帰ってくるから、なんかほしいものとかある?」
千李が聞くとそれぞれがほしいものをメモに書き、千李に渡した。
「んじゃいってきまーす」
軽めに声をかけ、千李は部屋を後にした。
部屋を後にした千李は旅館の外にでると、湘南に行ったときと同じように跳び立った。
しばらくして千李はあるところに着地した。そこは所謂森の中だった。
「さて……大体この辺なんだけど……ん?」
あたりを見回す千李は、真っ暗闇の中ある一点に目を向けると声をかけた。
「そこにいるんでしょ?隠れてないででてきたら?」
そう告げると、千李が声をかけたところから、何かが出てくる気配がした。すると先ほどまで曇っていた空の雲がはけ、月が出始めた。
月が出たことにより、その何かが月明かりに照らされ全容が明らかになってきた。そこにいたのは1人の女性だった。
女性の髪は燃え盛っている炎のように赤く、瞳も何かを睨んでいるかのように吊りあがっていた。しかし右目には眼帯をつけており、一般人とはかけ離れた風貌だ。服装も一般人と違い所謂軍服というものに身を包んでいた。
「久しぶりですね千李」
女性はよく通る、凛とした声で千李に声をかける。千李も微笑みながらそれに答えた。
「ええ、久しぶりねマルギッテ、半年振りかしらね?」
マルギッテと呼ばれた人物はただ頷いた。この女性の本名はマルギッテ・エーベルバッハ、千李がドイツ軍に所属していた時、仲良くしていた人物である。クリスとは姉と妹のような関係と同じくらい親しくしている。またクリスの父であるフランク中将もマルギッテには一目置いている。
マルギッテは千李の問いに静かに答える。
「はい、およそそれぐらいかと。ですがよくわかりましたね、いつからわかっていましたか?」
「川神からずっとね、それに昼ぐらいにここら辺を私の気で索敵したからね。そん時に完全に場所がわかったってわけよ」
近場の木に背を預けながら、千李はマルギッテに告げた。マルギッテもそれを聞くと納得したように頷く。
「なるほど、そういうことだったのですか。確かに貴女は軍にいたときはそのようなことをしていましたね」
「そうね、……で、今回も中将の命令?」
「ええ、中将から
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