箱根 前編
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
不可欠なのよ」
大和がそれに頷いていると、千李が、だけどと付け加えた。
「度が過ぎるとさすがにいけないけどね」
その言葉はさながら自身が過去にやってしまったことを後悔しているような口ぶりだった。
すると、旅館の扉が勢いよく開け放たれた。
「よっし!私が一番ね!」
一番で飛び込んできたのは一子だった、そしてそのすぐ後にクリスが到着。そして最後、一子たちから十分ほど遅れて瑠奈が飛び込んできた。
さすがに疲れたのか倒れこみそうになる瑠奈を、千李は優しく抱きとめる。
「はい、お疲れさん」
いたわりの言葉をかけ、千李はそのまま瑠奈を抱っこして部屋に戻って行った。
夜になり、皆で温泉に入ることとなった。瑠奈は初めての温泉に目を輝かせさっさと服を脱ぎ捨てると、一子と共に温泉に飛び込んでいった。
そして女子全員が露天風呂に集まると、自然と皆の視線が千李の胸に集まった。
「なによ、お前ら」
「いやー……なんというかなぁ……?」
「うん、すっごい……」
百代は一子に首をかしげながら、一子はただただ頷きながら、
「やはり……大きい……」
「……ゴクリ」
クリスは何かブツブツとつぶやいているし、由紀江は息を呑んでいた。あたりには静寂が流れるが、そこで瑠奈がポツリとつぶやいた。
「お母さんの胸おっきー……」
「ああ、そういうことね」
瑠奈のつぶやきに、なぜ他の皆が自分を凝視しているのかがわかった千李は微笑を浮かべる。すると百代が聞いてきた。
「ね、姉さん。胸何センチだ?」
「今は確か……100だったかしらね」
その声に女子達は唖然とするが、隣の男湯の方でもバシャバシャという水音が聞こえた。千李はそれを聞いて鼻で笑うと、
「覗いたりしたら殺すわよー、私達じゃなくてもねー」
とてもいい笑顔で言い放つ千李の声には、優しさもあったが中に本気の脅しが混じっていた。それ以降男湯の方からはめっきり静かになった。
「たくっ……エロガキ共め」
溜息交じりに千李は言うが、その顔は若干笑っていた。
場所は変わって男湯。
先ほど本当に小声で覗きをするということを話していた、岳人だが千李の優しくもあり、そして恐ろしくもある声を聞いた後岳人は一気に縮み上がった。
「や、やべぇよ!あの声絶対本気だったろ!?」
「ああ、アレはもしやったら確実に地獄を見るな……」
むさくるしいまでに集まる男達はただただ、千李の声に震え上がるしかなかった。
温泉から上がり、夕食を終えると、瑠奈はさすがに眠くなったのか先に眠りについてしまった、小さい子供が山を駆け上が
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ