例えばこんな同居人はちょっと反応に困るんだが
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ているから、という屁理屈もいいとこな理由なのだが。
実際多くはISコアとしての必須条項を満たしてないので条約の対象外ではある。こいつらはISコアネットワークに接続されず、代わりに欠陥機同士のネットワークを構築しているためあらゆる部分で本物には劣る。が、機密性はその分高い。そして委員会の手で改造が施されたこいつは、お偉いさんのボタン一つでいつでも私の人体を破壊できるという寸法だ。首輪代わりみたいなものだと思ってくれればいい。
私に内蔵されているのはIS安全神話の要である”絶対防御”が発動しないという欠陥機の中の欠陥機。なぜそれが私に与えられたかというと、それは私の体が特殊だからだ。
あの私が生きる意味という名の幻想を抱きながら耐え続けたあのくそったれの計画。”プロジェクト・ウールヴヘジン”・・・後天的な肉体改造によって野獣のように激しい身体能力と通常では考えられない耐久力・再生能力を与え、同時に記憶をコントロールすることで飼い主に都合のいい最強の兵士を作る計画だったらしい。
つまり私は絶対防御がなくてもそう簡単には死なない体なのだ。
そしてそんな私がここに送り込まれた理由・・・それは男性IS操縦者の監視とデータ採取、及び命令があればその拉致だ。拉致された後の男がどうなるかは知らないし興味がないが、多分人体実験の素体になるんだろう。
どうでもいい。人がどう生きてどう死のうがどうでもいい。
自分がどう生きてどう死のうがどうでもいい。
何かを求める心はあの日に死んだ。もう私には求めるものもしたいことも何も残っていない。
ただそこにあるだけの糞尿製造機で、他人の言うことを聞くだけの使い走り。死んでないだけの人間の残りカス。
いっそここで一つ”やらかして”死んでやろうか。このまま怠惰に生きるだけよりは最後にぱっと血潮の華を咲かせるのも一興ではないだろうか。何やら日記を書き始めた真田の背中を見つめながらそう思う。そうだ、それもいいな。世界に二人しかいない一国の国家主席よりも価値のある人間をこの手で殺して晒して壊れよう。
気が付いたら私は眠る真田に馬乗りになり、爪の先を頸動脈に当てていた。私の身体能力があれば彼の首を指で肉ごと抉るのは難しいことじゃない。彼のISが警告文を放つが私は無視して突き刺そうとし―――
そこで指が止まった。
今になって思えばそれは彼のISが絶対防御を発動させただけだったのかもしれないが、その時の私は彼を殺せないことを不可思議に思った。そして思い至る。
そういえば、私は彼に初めて出会ったとき、その顔がどこか気に入らなかった。他人に興味がない癖に何を考えてるんだ、とも思ったが今ようやく私がなぜこいつをそう思ったのか思い至った。
こいつは、私が希望を持ってた
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