例えばこんな同居人はちょっと反応に困るんだが
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ああああああ・・・・・・・・・」
全部、勘違いか。あのぬくもりと幸せは、どこかの誰かが用意した作り物か。
家族って”誰”だよ。そん な も の 初 め か ら
4月12日
「・・・最悪な目覚めだ」
荒く熱い吐息を吐き出しながら一言だけ呟いた。ふともう一つのベッドを覗くと、そこには真田がいつも通り幸せそうな寝顔ですぴー、と音を立てて寝ていた。
暢気なものだ、と吐き捨てるようにつぶやく。人が悪夢を見ているときに、こいつはさぞかし幸せな夢を見ているんだろう。まぁ、それも私には関係ないことだ。関係ないが、なぜかこいつの顔が小憎たらしい。
こいつを初めて見た時からなんとなく気に入らないと思っていた。私にべたべたくっついてくるわけでもないのだからむしろ都合のいいタイプの人間なはずなのに、気が付けば最低でも1日2回は顔を合わせる同居人だ。
どくん、と心臓の隣に鎮座する相棒が脈動したような気がした。それを無視しながらカーテンを開けて明るくなった外を眺める。――ああ、今日も無感動で無意味で無価値な一日が始まるのだな。
「で?で?どうなのよ〜真田君とはっ!」
「どうもこうも、彼すぐ寝ちゃうからあんまり話できてないね」
「えぇ〜?何それつまんなーい!」
「でもすぐ寝ちゃうってことはぁ・・・イタズラし放題!?」
「かもね。結構眠り深いみたいだし、キスくらいなら全然ばれないと思うよ?」
「「「きゃーきゃーきゃー!!!!」」」
クラスメイトと他愛のない会話をして、面白くもない授業を淡々と受け、次の日に備えて寝る。その過程を延々と繰り返すだけの毎日。夢も希望も特に持っていない私がなぜこんなことをしてるのかと言えば、それは私の所属する組織に関係がある。
国際IS委員会――権力と金を持ったクソの塊が人の形をして運営している(残念ながら)世界最大の権力を握った組織だ。私は生きる気力を失った後そこの非公式部隊に拾われ、物品ではなく人としての生き方を教え込まれ、諜報兼強襲要員としての訓練を受けた。同級生と話すときは潜入用の擬似人格に頭を切り替えているのでこんな興味のないばかばかしい会話でも一応話せるわけだ。
訓練を受け始めて間もなく私の胸にはISコアというものが埋め込まれた。当時まだISの存在を知らなかった私だが、それが安全なものではないだろうという認識はあった。事実、それはまともではなかったわけだし。
”破棄核”。篠ノ之束が失敗作と認定し、廃棄したISコアの総称だ。この委員会という連中が必死こいてかき集めることが出来た、アラスカ条約にギリギリで引っかからないISコア。なぜ引っかからないか?それは「ISとよく似ているが違うもの」として扱っ
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