第四十八話 会食その十七
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「しかしそれが変わったのです」
「美味しさを知ったんですか」
「はい、最早アメリカは料理がまずい国ではありません」
スペンサーは食べながら誇らしげな顔である。
「全ては変わりました」
「そういえば」
ここで上城は言う。
「アメリカは色々な国の人が集まりますよね」
「それはここのメニューでも出ていますね」
「はい」
確かにその通りだ。見れば大石がペンネアラビアータに焼売といったものを食べている、言うまでもなくイタリアと中国の料理だ。
「そうですね」
「つまりです」
スペンサーは上城にさらに話す。
「アメリカにいれば色々な料理の味を知ることができます」
「だからですね」
「そうです、多くの味を知りそれを作り」
さらにだった。
「自分達で作りアレンジが為されるからです」
「そうしてですね」
「アメリカ人は味を知り料理の腕をあげていきました」
「そういえば日本も」
「日本も色々な国の様々な料理がありますね」
「はい」
日本もそうなのだ。とかく色々な国の色々な料理があるのだ。
「僕ラーメンもハンバーガーもカレーも好きです」
「他には」
「スパゲティもです」
それも好きだとスペンサーに話す。
「生春巻きもです」
「ベトナム料理もですね」
「そういうのも全部好きです」
「そう、様々な料理を知ることは美味しく食べることの近道です」
そして料理の腕をあげることのだというのだ。
「そこに刺激を受け自分も、と思いますし舌も肥えますし」
「ううん、移民の国だからこそ」
「アメリカにはそもそも美食の下地があったのです」
「そうなんですね」
「では今日は」
スペンサーは新しい肉、今度はローストビーフをフォークとナイフで切りながら上城達に対して述べた、
「アメリカの料理をお楽しみ下さい」
「はい。ところで」
ここで上城はふと思うことがあった。それをスペンサーに向けた。
「大尉はスポーツは何を」
「スポーツですか」
「何がお好きですか?」
「観るのは野球です」
ここでもアメリカ人らしい返事だった。
「それにバスケです」
「バスケットボールもですか」
「はい、もっともバスケは学生時代から不得意でしたが」
「えっ、そうなんですか?」
「背は高いですが筋肉があり過ぎまして」
見れば確かにだ。スペンサーの肉体はアメフト選手にしか思えないものである。
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