暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡
第三十六話 浴衣を着てその二
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「締め方がなってないわ」
「これなの」
「自分で締めてもね、それはね」
「出来ないのね」
「旅館の浴衣とはまた違うから」
 あの浴衣とはまた別だというのだ。
「そこは注意してね」
「そうなのね」
「そう、だから着る時はね」
「お母さんに言えっていうのね」
「一応着付けも出来るから」
 だからだというのだ。
「言ってね、お母さんに」
「ええ、それじゃあ」
「浴衣はね、女の命よ」
「和服だから?」
「制服、体操服、水着と並んで女の子が最も似合う服なのよ」
 娘に言う言葉が強くなっていた。
「だからなのよ」
「あの、体操服っていっても」
「半ズボンだけれどね、お母さんの高校はジャージだったけれど」
「夏もだったっていうけれど」
「そう、普通の体操服もね」 
 それもだというのだ。
「女の子の最高の服の一つだからね」
「大事なのね」
「だってスタイルが出るじゃない」
 身体を動かす為軽装だ、その結果である。
「半ズボンでもね」
「そうなのよね、だから体育の授業皆盗撮にも注意してるの」
「武器だからそうなるのよ」
「武器だったの、体操服って」
「そうよ、まあブルマの話は置いておいて」
 話が複雑になるからだ、それで今はしなかった。
「体操服も大事でそれでね」
「浴衣もなのね」
「制服は女の子を最も綺麗に見せるし水着はもう言うまでもないわね」
 何故アイドルが誰もが水着になるのか、ただ水着になるだけではないのだ。
「それと一緒なのよ」
「浴衣もなの」
「勝負服なのよ」
「ううん、そうなの」
「冬の振袖もだけれどね」
 どちらにしても着物だ、着物ならばだという意味もあった。
「日本人だからっていうだけじゃなくて」
「浴衣に何があるのよ、勝負服の一つって」
「可愛さを引き立てるのよ、それに微妙な色気もあるからね」
「だからいいの」
「浴衣を着る時は万全によ」 
 母は強い声で言い切った。
「だからその時はお母さんに任せてね」
「夏祭りの時ね」
「うん、その時はね」
 こう言うのである。
「わかったわね」
「ええ、それじゃあね」
 琴乃は母の言葉に頷き服を着替えた、私服になって家での日常に戻った。
 琴乃は次の日部活と夏期講習が終わってから景子の家の神社に向かった、そこに五人で集まってだった。
 景子の母親が作ってくれた苺のかき氷を食べながら景子に問うた、今五人で景子の部屋に車座で座っている。
「ねえ、八条神社のお祭りだけれど」
「そのことね」
「もうすぐだけれど景子ちゃんも浴衣持ってるわよね」
「ええ、そうよ」 
 その通りだとだ、景子は琴乃に答えた。
「何着かあるわよ」
「そうなのね」
「お母さんが実家から持って来た浴衣もあるから」
「それ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ