第三章
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彼は劉備の下に戻った、誓を守って。
三人の苦難はまだ続く、劉備が頼っていた袁紹が曹操に敗れると劉備は今度は劉表の下に身を寄せた、しかしその劉表も死に。
劉備は曹操に追われ逃れた、その逃げる時にだ。
劉備は左右にいる関羽と張飛に苦い顔で問うた。
「いいのか」
「いいのかとは」
「一泰どういうことでしょうか」
「御主達だけでもだ」
二人に対して言うのだった、三人がそれぞれ乗っている馬はまるで風に流される様にして逃げている。
「曹操に降ればだ」
「命は助かる」
「そして将として用いられるというのですな」
「そうだ、私を見捨てればだ」
それが出来るというのだ。
「そうしないのか」
「まさか、そんなことは」
「考えたこともありませぬ」
二人は笑ってだ、劉備にこう返した。
「ですからそのことはもう申されるな」
「約束して下され」
「誓いか」
「左様です」
「だからです」
二人の笑みは澄み切っていた、その笑顔で劉備に言うのだ。
「今更その様なことをも申されないで下され」
「もう長きに渡って共にいるではありませんか」
「我等は死ぬ時は共です」
「そう誓ったのですから」
「そうだな、それではだ」
劉備も二人の言葉を受けて笑顔になった、そしてこう言った。
「では何としてもだ」
「はい、孫権殿の下に向かいましょう」
「揚洲まで」
劉備達は逃れ続ける、そしてだった。
張飛は曹操の大群が迫ると聞いてだ、二人の義兄に言った。
「ではわしが行って来ます」
「後詰か」
「それに向かうか」
「丁度橋があります」
長坂橋、それがだというのだ。
「その上に向かいそこで曹操の軍勢を止めてきましょうぞ」
「曹操の軍は百万というが」
そう号していた、実際は十五万程度であるが。
「それでもか」
「百万の大軍も所詮は烏合の衆です」
張飛も一騎当千の強者だ、だからこそ言えることだった。
「恐ることはありませぬ」
「そうか、ではだ」
「はい、ここはお任せ下さい」
「必ず帰って来るな」
「無論、誓いのままに」
張飛は劉備に確かな笑みで応えた、そしてだった。
彼は橋の上に一人で馬上で名乗り曹操の大軍を止めた、そのうえで誓い通り劉備のところに戻ったのだった。
劉備は孫権の下に逃れ赤壁で戦った、そうして曹操の大軍を退けそれからは益州に入りそこの主となった、そして。
曹操との戦に勝ち遂に王を名乗った、漢中王となったのだ。
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