第一章
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誓いを今
幽州の桃の園においてだ、三人の若者達が集っていた。
大きな耳を持つ立派な顔立ちの者と異様なまでに大柄で赤面で見事な髭の男、虎を思わせる髭のやはり大柄な男だ。
劉備玄徳、関羽雲長、そして張飛翼徳だ。この三人が集まって宴を開いていた。
「では今より我等は」
「はい」
「兄弟ですな」
関羽と張飛は劉備の言葉に応えた。
「生まれた時も場所も違いますが」
「血は違えど」
「それでもですな」
「今より」
「うむ、兄弟だ」
劉備は笑顔で二人に答えた。
「例え何があってもな」
「では常に共にあり、ですな」
関羽が劉備に応える。
「最期も」
「死ぬ時もだな」
「無論です」
こう劉備に答える。
「そうさせてもらいます」
「それがしもです」
張飛も言う、確かな声で。
「死ぬ時は一緒です」
「そうか、これから色々とあるがな」
天下は乱れようとしていた、今は黄巾の乱が起こっている。しかも漢王朝の力はここにきて急に弱まってきていた。
三人もそのことはわかっている、それで劉備も言うのだ。
「それでもだな」
「はい、常に共にあり」
「常に死にましょうぞ」
「わかった、ではだ」
劉備は二人の言葉に応えた、それでだった。
三人で誓い合い共に生き共に死ぬこととなった、その中で。
三人は時には逃れることもあった、張飛が訳あって暴虐な官吏を懲らしめた為だ、それで三人は劉備の兄弟子である公孫賛の下に逃れていた。
その道中三人は極寒の地を歩いていた、その中でだ。
張飛は蛇矛を手に持ち二人に問うた。
「わしは捨ててくれてもよかったが」
「馬鹿を言うな」
関羽がその張飛に言う。
「その様なことが出来るものか」
「しかし問題を起こしたのはわしだ」
張飛はその大柄な身体を申し訳なさで小さくさせつつ関羽に返す、三人は今徒歩で吹雪の荒野の中を進んでいる。
「わしだけが責に問われれば兄者達は」
「桃園のことを忘れたのか」
今度は先頭を行く劉備が張飛に言った。
「あの時の誓いを」
「あの時か」
「常に共にいて共に死ぬと誓ったな」
劉備は張飛にこのことを言う。
「そうだったな」
「だからなのか」
「そうだ、あのままだと御前はあの官吏にやってもいない罪まで着せられて殺されていた」
仕返しでだ、そうなっていたというのだ。
「我等は無事でもな」
「だからか」
「そうだ、御前をその様なことで殺させはしない」
「だからだ」
劉備だけでなく関羽も言う。
「いいな、公孫賛殿の下に向かうぞ」
「わかったな」
「・・・・・・わかった」
張飛は誓いのことを思い出し頷いた、そうしてだった。
三人は何とか公孫賛の下に辿り着き彼に保
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