第二章
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「閻魔さんのところに行ったら地獄に行かされるってわかってるから」
「だからですか」
「悪人程そうなんだよ、けれどあんたは違うから」
だからだというのだ。
「安心していいよ、それじゃあね」
「閻魔大王のところまで案内してくれるんですね」
「それがあたしの仕事だからね」
死神の仕事は道案内だというのだ、それは人の命を奪うことではないというのだ。そのことを話してからだった。
彼は義光に対して話す、そうしてその吉光にあらためて告げた。
「行こうかい、ちゃんとついてくるんだよ」
「わかりました、じゃあ」
「それでだけれどね」
死神は義光が頷くのを見て彼にさらに問うた。
「あんた幾つだい?」
「僕ですか」
「ああ、一応歳を確かめておくよ」
袖の下から帳簿を出してきながら問う。
「死んだ歳をね」
「その帳簿何ですか?」
「点鬼簿だよ」
「点鬼簿?芥川龍之介の小説ですか?」
「そうだよ、閻魔帳だよ」
要するにそれだというのだ。
「人間の寿命はあらかじめ決まっててね、その死ぬ年齢と年月日がちゃんと書かれてるんだよ」
「それが閻魔帳ですか」
「そうだよ、あんた秋田義光さんだね」
「はい、そうです」
「ふうん、若作りだね随分」
死神は開いた閻魔帳と義光の顔を交互に見ながら話す。
「九十一歳にしてはね」
「九十一!?」
「あんた九十一歳で亡くなるって書いてるよ」
こう義光に話す。
「いや、こんな若作りの人も珍しいよ」
「あの、僕」
義光は死神の言葉に目を何度もしばたかせた、髪は黒々としていてその量もかなり多くつやつやとしている、肌の張りもよく背筋もしっかりとしている。濃い眉も広い唇もその周りに皺一つない、その姿はどう見てもだ。
「十九歳ですけれど」
「十九!?嘘言ったら閻魔さんに舌抜かれるよ」
「ですから僕十九ですよ」
「馬鹿言っちゃいけないよ、ここにはちゃんと九十一って書いてあるよ」
「今平成二十五年四月二十三日ですけれど」
「?二〇一三年四月二十三日だってのかい?」
「そうですけれど」
「あれっ、四月二十三日だけれど」
死神はその閻魔帳を見ながら言う。髑髏の中のその目がしきりに動いている。
「二〇八五年じゃないのかい」
「それどれけ未来ですか」
「ううん、そういえば」
死神はあらためて義光を見た、そしてこう言った。
「あんた本当に十九歳みたいだね」
「だからそうです」
「そうか、わかったよ」
死神は納得した顔で頷いて声をあげた。
「これが間違えてたんだよ、点鬼簿がね」
「閻魔帳がですか」
「そうだよ、実はこれあたしが書いてるんだよ」
死神である彼がだというのだ。
「それでこれに基づいて迎えに行ってるんだけれど」
「僕の年齢間違えてたん
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