第一物語・後半-日来独立編-
第四十四章 秘めし決意《4》
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言われ、怒られる前に皆は静かになる。
空気を吸い、肺に送り込む。
振り返るルヴォルフは声を張り、皆に聞こえるように言う。
「これから結界の自壊誘発行動に移るが、殴れば解るが容易には壊せない。獣人族である俺の打撃も防ぐ強度だ。バラバラに攻撃したところで意味をなさない」
だから対処が必要だ。
バラバラに攻撃して駄目なのならば、思い付くことはその逆のこと。
「組をつくり、絶え間無く攻撃を与える。時折間に強烈なのをお見舞いするが、行う前に前もって皆に知らせる。組の人数は五人がいいだろう。さあ、組み始めろ!」
「「了解」」
返事を返し、皆は出来るだけ迅速に動く。
五人組となり、一つの塊として集まる。余った者は余った者同士で組み、五人いないところはいる人数で組む。
ルヴォルフの的確な指示の下、動き、組むのに時間は掛からなかった。
当のルヴォルフは指揮役でもあるため組まず、組んだ皆を見渡した。
頷き、後輩はそれを見てほっとする。
そんな後輩を見て、気が抜けていると思うがここは士気を下げないためにも注意はしない。
彼らにとっては初めての戦いだ。
ここは多目に見るのがいいだろう、とルヴォルフは思う。
確認し、次に攻撃の手順を伝える。
「攻撃方法はいたって簡単。まず一直線に並び、結界に最も近い組が攻撃、数分後合図が出たら一つ後ろの組と交代。攻撃を行っていた組は一番後ろへ行く。
まずは一直線一本でいくが、状況次第では二本三本と増やしていく。分かったか」
「「了解」」
皆は返事をする。
「よし、ならば前から順に三年生から並べ。攻撃手段は味方を負傷させないものであればなんでも結構。殴る、蹴る、切る、射つ、放つ、またその他。
――日来の意地を見せてみろ!」
「「了解――!!」」
一本の直線の陣形を取り、まず一組目が行った。
分刻みで交代し、素早く移動し攻撃に移す。
攻撃が結界に当たる度に、結界からは鈍い音しか出なかった。
だが止めはしない。
ここで諦めてしまえば、自身らの長に顔向け出来無い。
今、自分達の役目は結界を壊し、自身の長を宇天の長の元へと向かわせること。
それにこれくらい出来無いとあの長に知られれば、絶対に馬鹿にされる。
それは御免だ。
だから皆は、結界へと攻撃を放った。
雄叫びを上げ、何時壊れるのか分からない結界に向かって。
この結界は、日来の進行を阻むものとして。
●
今、入直の目の前には流魔刀が見える。
入直の方へと迫り、断つ軌道で。
弾き返してやるさ。
何もしないわけではない。
防御壁の連続展開で威力を削ぎ、外側へ逸らす。
これならば火炎ノ緋翼の燃料を使わず、相手の攻撃を防ぐことが出来る。
普通ならば自身の身を
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