第一章
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三年坂の女
京都には色々な逸話がある、それは場所一つ取ってもそうだ。
今ボブ=ストーンリバーは同僚の赤城慎太郎から話を聞いていた、彼等は今その京都の池田屋の跡地に来ている。
二人は高校の先生をしている、修学旅行の引率でこの町に来ているのだ。ストーンリバーはかつて池田屋があったその場所を見ながら赤城に尋ねた。
「ここで、なんですね」
「はい、新選組が斬り込みまして」
「多くの勤皇の志士を斬ったんですか」
「多くの犠牲者が出ました」
赤城はこうストーンリバーに話す。見れば頭の上の方だけを伸ばしオールバックにしていて横や後ろは角刈りにしている。
背は高くすらりとしている、その彼がブロンドの髪とそれと同じ色の顔の下半分を覆った髭と青い目のストーンリバーに説明するのだ。ストーンリバーの背は赤城と同じ位だ。
「祇園祭の時でした」
「あのお祭りの時にですか」
「新選組は討ち入りを仕掛けまして」
「それで、ですか」
「その討ち入りで維新が一年遅れたとか」
「一年ですか」
「それ位遅れたという話もある程です」
攘夷派、もっと言えば長州藩がそこまで痛手を受けたというのだ。
「吉田秀麿という逸材も死んでいますし」
「随分派手な討ち入りだったのですね」
「新選組の名を知らしめた事件でもあります」
そこまで凄かったというのだ。
「それがこの場所であったのです」
「そうですか」
「はい、そしてです」
「そして?」
「この場所以外にもです」
赤城はストーンリバーにさらに話す。
「京都には色々な場所がありまして」
「歴史があるからですね」
「中には怖い話もありますよ」
話は自然とそういったものになった、二人の周りでは引率されている生徒達がその池田屋の跡地を見ながら話していた。
「池田屋残しておけよな」
「そうだよな、何でないんだよ」
「今あったら歴史的な名所だろうに」
「何処で新選組が斬ったとかな」
「そうした話になったのにな」
「残念な話よね」
「本当にね」
こう話す彼等だった、二人も生徒達のそうした話を聞きながら話をしている。
赤城はあらためてだ、ストーンリバーにこうした話をした。
「羅生門の話もありまして」
「かつて都の入口だったという」
「はい、そこには鬼が出ました」
渡辺綱の話だ、そこの鬼の腕を巡る話だ。
「他にも幽霊とかありまして」
「幽霊もですか」
「そちらのお国でも多いですね」
「はい」
ストーンリバーはスコットランド出身だ、そこから答える。
「多いです」
「そうですね、スコットランドと同じで」
「この京都もですか」
「歴史があるせいか多いです」
「そうですか」
「何処かの橋に出たとか寺に出たとか」
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