第八章
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「そうでしょ」
「血を吸うから吸血鬼だしな」
「じゃあ血を吸わない吸血鬼は何かしら」
「何でもないんじゃないか?」
禎丞は少し考えてから答えた。
「それじゃあな」
「そうよね。人間と変わらないわよね」
「何か背中から翼生やしたり霧になったりも出来るんだよな」
「蝙蝠とか狼にもなって使い魔がいたりしてね」
「よく知ってるな」
桃香の言葉にふとこうも思った。
「マニアかよ」
「ご先祖様がルーマニアだからね」
それでだというのだ。
「一応知ってるのよ」
「ああ、そうなんだな」
「そうよ、それで吸血鬼っていってもね」
「血を吸わないとそうじゃないか」
「それで普通に生活してて普通の寿命だと人間と変わらないわよね」
「まあ色々な力があってもな」
それでもだった、禎丞も言われて考えてみると。
「変わらないよな」
「そうでしょ、吸血鬼っていっても変わらないのよ」
普通の人間と、である。
「そういうものよ」
「そうか、じゃあ若し桃香が仮に吸血鬼だったとしてもな」
禎丞は桃香の言葉に乗りながら言った。
「全然何ともないな」
「そういうものよ、全然平気よ」
桃香もパスタの中の大蒜をフォークで取ってそれを食べながら話す、その口から見えたものは。
「大きな八重歯だな」
「あっ、見たの」
「ああ、今な」
その口の中にあるそれをだというのだ。
「大きな八重歯だな」
「実は自慢のものなのよ」
「それがその八重歯なんだな」
「そうよ」
その通りだというのだ。
「いつも磨いて綺麗にしてるわよ」
「けれどよ、いつも大蒜食ってるからな」
「大蒜の匂いがするっていうのね」
「それはあるな」
「大蒜大好きだからね」
ラテンにだというのだ。
「だから匂いはしてもね」
「いつも磨いてるんだな」
「そうよ、ちゃんとね」
こう言ったのだった、そして。
桃香は禎丞にその八重歯を見せながら笑顔で話した、その日は二人でカプリチョーザのパスタとワインを楽しんだ。
その夜自分の家に帰ってからだった、桃香は両親に只今の挨拶をしてから部屋に入った、部屋着のジャージに着替えそしてサングラスを外すと。
目は赤かった、その目で部屋の灯りをつけると。
部屋の天井から声がした、見れば天井には蝙蝠達がいた。
その蝙蝠達がベッドを背にして部屋のクッションの上に腰を下ろした桃香に対して困った口調で言って来た。
「ご主人、注意して下さいよ」
「灯りを点ける際には」
「私達蝙蝠なんですから」
「それはちゃんとして下さい」
「御免御免、皆寝てたのね」
天上にぶら下がっている蝙蝠達に対して言う。
「外に遊びに出てるって思ってたわ」
「寝てたんですよ、ずっと」
「今日は」
「そうなのね、今
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