第六章
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「今見たのはな」
「気のせいかね、これって」
「たまたまか?」
「人の顔なんてそう変わらないからな」
「だからな」
「まあとにかくな」
匡は気を取り直して仲間達に言った。
「行ってくるな」
「コクってくるんだな」
「今からそうしてくるんだな」
「ちょっと行って来るな」
決めた通りだ、そうすると言ってだ。
彼はその美人のところに薔薇の花束を持ったまま向かい友人の一人にアドバイスしてもらったその場所で告白した、そしてその次の日だった。
彼は大学の喫茶店においてあまり上向いている感じではないがそれでも何処かさばさばとした顔でこう言った。
「駄目だったよ」
「ああ、そうか」
「やっぱりそうか」
「振られたか」
「そうだったんだな」
「彼氏いるらしいんだよ」
よくある話だ、告白しても既に相手がいるというパターンは。
「それで断られたよ」
「まあそれだと仕方ないな」
「残念だけれどな」
「それならもうな」
「諦めるしかないな」
「そう思うよ、それに告白の時な」
匡はその時のこともここで話した。
「俺もテンション低かったからな」
「ああ、思ったより美人じゃなかったからだな」
「降りてきてすれ違う時に比べて」
「ずっとだったからだよな」
「そうなんだよな」
昨日のことを思い出しながら仲間達に言う。
「あれには俺もびっくりしたよ」
「ちょっとな、何でなんだ?」
「急に普通になったよな」
「普通の美人になったからな」
「それでテンション下がったからな」
それでだとだ、匡はまた言うのだった。
「コクるのも自分でもわかる位元気がなかったしな」
「それで今も振られてもか」
「あっさりしてるんだな」
「そうだよ、まあいいか」
実際にこうも言った、本当に何でもない感じだ。
「次な、次」
「次の人見つけるんだな」
「そうするんだな」
「失恋したら引きずっても仕方ないだろ」
匡の元々の性格もあるがやはり相手に拍子抜けしたからだ、それで今もこう特に思うことなく言うのだった。
「じゃあな」
「次の恋を見つけるか」
「気を取り直して」
「もう気は取り直してるしな」
それも既にだというのだ。
「今度はエレベーターにでも乗るか」
「そこで新しい出会いがあるかもな」
「またな」
仲間達もこう話す、匡はもう引きずってはいなかった。
だが、だ。最後にこう言った。
「女の人っていうか人間って場所で感じとか変わるけれどな」
「それであの人はあの時はあんな美人に見えたか?」
「そうなのか?」
「かもな、降りてくる時の人は美人なのかもな」
こう言うのだった、何故降りてくる人は美人に見えるのかはわからなかった、だがそれでもそう見えるのかも知れないと最後に言ったの
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