第一章
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降りてくる美女
今佐木島匡は真剣な顔でキャンバス仲間に話していた。背は一七六位で黒髪を横を短く刈って上をやや上にあげている、額は少し広く髪の生え際は真ん中にあがっている。
きりっとした形の眉に強い光を放つ一重の目、大きな耳に細めの鼻とよく会った細い顔、口元も引き締まっている。
その彼がだ、こう力説していた。
「八条百貨店のな、六時だよ」
「毎日その時間にか」
「二階から一階のエレベーターにか」
「そうだよ、凄い美人が降りてくるんだよ」
こう力説するのだ、コーヒーを飲みながら。
「もうそれが凄い美人さんでさ」
「女優顔負けだって?」
「ハリウッドにも行ける様な」
「ああ、そこまでだよ」
匡は強い声で言う。
「もうとにかく美人でさ」
「好きになってるんだな」
「そうなんだな」
「というか彼氏いるんじゃないか?」
匡は自分で言いながらこうも考えた。キャンバスの喫茶店の中で仲間達と共にコーヒーを飲みながら言うのだ。
「あれだけ美人だとな」
「いや、案外美人過ぎるとな」
ここで仲間の一人がこう彼に言った。
「これがな」
「彼氏いないのかよ」
「そうだよ、美人過ぎてついついってな」
そうなってだというのだ。
「告白とか出来ないからな」
「そうか」
「そうだよ、だからな」
「その人も彼氏いないかもな」
「そうかもな」
「だったらいいけれどな」
「指輪してるか?その人」
別の仲間がこのことを問うた。
「それで」
「指輪、結婚指輪か」
「左手の薬指にしてたら諦めろよ」
このことは注意するのだった。
「絶対にな」
「人妻には手を出すな、か」
「それはエロゲかアダルトビデオだけにしてろ」
「後が怖いぞ、ばれたら」
「特に旦那がヤクザとかだったらな」
所謂極道の妻に手を出したら、というのだ。
「下手したら神戸港か南港だからな」
「その中で一生寒中水泳だぞ」
しかも足にはコンクリートをプレゼントされる、一説にはこうした場所では既に結構な数が海底に漂っているらしい。
「そうでなくても嫉妬に狂った旦那は怖いぜ」
「どうしてもっていうのなら人妻の風俗にしとけ」
「俺もそんなの興味ねえよ」
匡も人妻は、というのだ。
「何で自分から修羅場に飛び込むんだよ」
「だったらいいけれどな」
「人妻彼氏持ちじゃないとな」
「指輪はしてなかったな」
それはもうチェックしているというのだ。
「この前ちらって左手見えたんだけれどな」
「薬指には何もなしか」
「じゃあ結婚はしてないんだな」
「彼氏いるかどうかまではわからないけれどな」
そこまではわからない、だが結婚はしていない様だというのだ。
「まあとにかくな」
「結構以上にか」
「
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