第八章
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「応えられずにいられないから」
「応えるって」
「そこまで好きに想われてどうしてこっちもってなれないでいられるのよ」
想いが伝わる、それならというのだ。
「だから、今度ね」
「デートなんだ」
「一緒に行きましょう、皆川君の行きたい場所にね」
「それなら」
拓也は千明の言葉に笑顔で応えた、そしてだった。
早速デートの話をうきうきとして話した、そうしたのだった。
二人ははじまった、その彼女に対してクラスメイト達はこう尋ねた。
「どう?今の気持ち」
「皆川君と付き合うことにした気持ちは」
「どんな感じなの?」
「それはね」
千明は彼女達の問いに顔を真っ赤にさせてから答えた。
「悪くはないっていうか」
「それ以上に、よね」
「今の気持ちは」
「ほっとしてるっていうか」
それにだというのだ。
「何か自分でもよかった、って思ってるわ」
「そうでしょ、今は」
「凄くいい気持ちでしょ」
「本当にね、私って今はね」
「今は?」
「今はなの」
「そう、本当によかったわ」
これが偽らざる彼女の今の気持ちだった。
「ずっと素直になれなかったのがやっと素直になれたみたいな」
「最初はタイプじゃないって言ってたのにね」
「それでもなのね」
「今も。外見は正直ね」
やはりそれはというのだ。
「タイプじゃないわ」
「けれどそれでもよね」
「性格は」
「あんなにいつもいつも見られて好きだって言われてるのよ」
正面からではなくともだというのだ。
「それだとね、ストーカーでもなかったし」
「それならよね」
「自分もよね」
「人ってあれだと思うわ」
今度は千明から言う。
「想われてるとね、ずっと強くね」
「それなら、っていうのね」
「あんたにしても」
「だから素直になれて、それで」
顔は真っ赤なままだ、だがどんな水よりも澄み切った顔でだ、千明は言った。
「幸せになれたわ」
「そうなのね」
「それがあんたの今の気持ちなのね」
「ほっとしているわ、それじゃあ」
こう言ってだった、千明は今度は満面の笑顔で言った。
「これから彼とデートの打ち合わせをするからね」
「そう、じゃあそっち頑張ってね」
「幸せにやっていってね」
周りはその彼女を笑顔で送った、今の千明の顔はとても晴れやかで明るいものだった。全ての曇りが消えた顔であった。
言われるうちに 完
2013・5・27
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