第三章
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「タイプじゃないから」
「幾ら好きって言われてもなの」
「そう言うのね」
「そうよ。仕方ないでしょ」
ここでは申し訳なさそうだった、だがそれでもだった。
千明は拓也の自分への感情を知りながらも知らないふりを続けた、それはずっと続いた。そうしてだった。
「それはね」
「まあ好みは人それぞれだからね」
「その辺りはね」
クラスメイト達も千明の言葉を否定はしなかった。
「だから拓也君にいつも見られても」
「そうなのね」
「私あの子を受けられないから」
その気持ちをというのだ。
「タイプじゃない相手だからね」
「まあそこまで言うのならね」
「仕方ないわね」
「彼には可哀想だけれど」
「報われない恋ってやつね」
「ええ、そうなるわ」
バツが悪そうな顔でだ、また言う千明だった。
「可哀想だけれど」
こうは言ってもだ、タイプでないから仕方がないというのだ。こう話してだった。
千明は拓也の気持ちはわかっていたがあえて無視をしていた、タイプでないからだ。
そうして日々を過ごしていた、だが。
学校に行けばだ、いつもだった。
拓也がいて彼女を見ている、そしてにこにことして熱い視線を向けている。
来る理由もないのにクラスに来て見る、そして自分のことを綺麗だの可愛いだの言っている話ばかり聞く、それでだった。
千明は溜息混じりにだ、この日もクラスメイト達に言った。
「告白とかしないのかしら」
「ああ、実は彼奥手だから」
「あれですっごい怖がりなのよ」
この場合は幽霊だのを怖がるのとはまた違う怖がりである。
「振られたら立ち直れないタイプなのよ」
「実はそうだからね」
「だからあんたのことを思っててもね」
「若し振られるって思うと」
それでだというのだ。
「怖がって告白しないのよ」
「好きだ好きだってオーラも出してるけれどね」
拓也は今もクラスに来ている、それでクラスの男子連中と適当に話をしながらずっと千明を見ているのである。
クラスメイト達はその彼を観ながら千明に言うのだ。
「純情でしかもシャイって訳よ」
「もうね、自分からはどうしても言えないから」
「それでいつもあんたを見てるのよ」
「しかもぎりぎりのところでね」
「ストーカーめいてるけれどそれでも」
千明は微妙な顔になって言った、ほんの少しだけ彼を見てから。
「学校にいる間だけだし、私を見るのは」
「それでよね」
「ええ、別に盗撮とかはしないし」
拓也はそうしたことはしない、精々女の子から彼女の写メを貰って有頂天になっている位だ。自分から写メすらしていない。
「嫌がらせとかもしないから」
「そういうことはしない子でしょ」
「まあね」
このこともわかってきていた、ずっと見られている
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