第28話 誓約
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それ以後の羅?星からの苦し紛れの攻撃や、異界化した空間から逃げ出される事を防ぎながら、残った個所を封じたら良いだけ。
晴明桔梗印結界が有る程度機能してくれるなら、能力の強化を行った俺と、能力が著しく低下した羅?星では勝負にならないはずですから、そんなに困難な内容となるとは思えませんしね。
問題は、ヤツの目標が俺ではなく、有希に向いた場合のみなのですが……。
「有希さんの防具に関しては――」
そう言いながら、何かを差し出して来る亮。
彼の右手の上に存在していたのは……。紅玉と銀らしき金属で出来たブレスレットで有った。
「物理無効の念が籠められて居ます。確かに限界は有りますが、それでもこの戦いの間ぐらいなら、裏旋刃の一撃で有ろうとも耐えきるはずです」
有希にブレスレットを手渡し、その効果を口にする亮。
確かに、この部分に関しても術を無効化する事は当然可能です。但し、その為の術式を組むには、このブレスレットに籠められた術式を解き明かす必要が有ります。
そして、その間は当然、攻撃も防御もそれなりの対処しか出来なく成ります。そんな隙を俺が見逃す訳は有りませんから。
紅い石に彩られたブレスレットを右腕に嵌め、有希は微かに首肯いて見せた。
その時の彼女の麗貌に浮かぶのは決意。彼女自身が何かの覚悟を決めた証。
いや、彼女の覚悟の内容は俺の覚悟の裏返し。俺が、最後の瞬間に彼女だけでも逃がす方法を考えて居るように、彼女自身も同じように俺を逃がす方法を考えて居るのは間違い有りません。
【矢張り、魔法の完全無効化の護符は用意出来なかったと言う事か】
流石にこの部分に関しては【念話】で問い掛ける俺。
その【問い掛け】に対して、軽く首肯くだけで応える亮。
もっとも、この羅?星事件自体が、クトゥルフの邪神の暗躍に対する世界の揺り戻し作用のような物。その事件を解決する為に、物理攻撃完全無効化護符及び、魔法攻撃完全無効化護符などを用意出来る訳は有りませんか。
何処かで因果律が歪められて、入手自体を阻止されるのが当然です。
むしろ、そう言う判り易い形で顕われてくれて助かったと言う状況ですから。
ここは、もっと悪意の有る形で因果律を歪められなかっただけでも良しとしましょう。
「さてと」
自らを鼓舞するかのように、勢いを付けて立ち上がる俺。
そう。これからは戦闘モード。後は……。
「現地に行って、御仕事を終わらせるだけやな」
☆★☆★☆
「ちょっと、待ちなさい」
対羅?星用の結界の中心。ヤツが顕現する場所の東中学に向かう道。
其処で掛けられる若い女性の声。
「よう、さつき。
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