第28話 誓約
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件の最後の部分に関わる事を彼女に阻止される可能性が高く成りますから。
流石に、彼女が一命を賭して俺の行動を阻止しようとされた場合は、俺自身の方が折れるしか方法が無くなりますからね。
そして、今回の事件も、最後の最期。本当にどうしようも無くなった場合にのみ、その選択肢を選ぶ心算ですから――――
自分の生命を置いて行く事によって何かを残す事が出来るのなら、それも一興。
「ちゃんと用意して有りますよ」
そう言いながら、亮が目の前に何かを差し出して来た。
それは……。
「成るほど。針か」
女性のソレと比べると当然のように大きな手では有るのですが、それでもかなり繊細な雰囲気の細い指先にそっと摘ままれている細い金属製の物体を目にして、そう呟く俺。
そう。彼の手の中に有るのは間違いなく針。全長五センチメートルほど。太さも普通の縫い針レベル。但し、あのジイさん。……兜率宮で宝貝を作り続けて居る太上老君と言う道教の最高神とも言うべき老人の元から出て来た代物ですから、どう考えても普通の縫い針とは違う物なのでしょう。
おそらく、西洋で言うならオリハルコン。日本で言うならヒヒイロカネ。仙族的に表現するのなら神珍鉄製の針、と言う事だと思いますから。
「但し、これは精確に仙骨や、琵琶骨周辺に刺さらなければ効果を発揮しない代物です。ちゃんと、目的の箇所に刺されば羅?星の霊気を吸い上げて、彼の身体を縛る戒めと成るはずです」
俺に、一束の針を渡しながら、そう説明を続ける亮。
成るほどね。つまり、自動的に相手を追尾して命中させてくれる訳でも無ければ、命中補正すら行ってくれる訳でもない。
相手。羅?星に命中するまでは、見た目通りの普通の針でしかない、と言う事ですか。
「まぁ、これは仕方がないか。そもそも、羅?星の気を吸って、ヤツの動きを制御する拘束具の機能さえ果たしてくれたら文句はない」
ため息を吐くような雰囲気で少し肩をすくめて見せながら、それでもそう答える俺。
まして、梱仙縄のように不特定の存在を絡め取るような宝貝では、相手の実力が使用者を上回った時には簡単に無効化されて仕舞います。それよりは、フェンリル専用の鎖グレイプニルのように、羅?星専用の縛めと成る宝貝を作って貰った方が、確実にヤツを拘束する事が可能と成るはずですから。
「それに、老君が作った宝貝なんやから羅?星に刺さらない、なんて言うマヌケな状況には陥らへんのやろう?」
一応、確認の為にも、そう聞いて置く俺。
それに、相手は狡猾な事で知られている羅?星。ヤツが顕現するには、決められた手順で、決められた場所に顕われるし
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