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ヴァレンタインから一週間
第28話 誓約
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 俺が質問する内容を口にする前に、答えを先に返して来る亮。
 成るほど。それで、俺がこの世界に呼び戻されたと言う事か。

 相変わらず、意味不明と言う気を発し続ける有希。いや、これは明らかに俺に対して説明を求めて来て居ますね。
 それならば、

「有希が三年間暮らして来たこの世界は、輪廻転生が存在する世界」

 俺は、具体的な行動としては視線のみで。そして、微かに感じる雰囲気で俺に対して説明を求めて居る少女に対して、一連の意味不明の会話の解説を始める。
 もっとも、ここまでの説明をすれば大体の事情は察すると思うのですけどね。

 一週間、共に過ごして来た彼女ならば。

「俺は昔……。玄辰水星が少女だった頃に、この世界で暮らして居た事が有る。そう言う事」

 この世界には俺の異世界同位体が居なかった。いや、既にこの世界の俺は、異界の湖にて魔王と呼ばれる存在と相打つ形と成って消えている。こう説明する方が正しいですか。
 そこで、異世界からわざわざ同じ魂を持つ俺が召喚されたのでしょう。

 但し、この想定が正しいとするのなら彼女。長門有希と言う名前の人工生命体に発生した魂と言う物も、偶然や、まして自然に発生した訳ではなく、某かの縁に因って発生した魂だと言う事になるのですが。
 そうで無ければ、わざわざ俺のような存在が、異世界から召喚されるような異常な事態は起こらないはずですから。

 何らかの縁や約束に因って、俺は彼女の前に現われたと言う可能性が……。

 そう考えながらも、そんな事はオクビにも出す事もなく、

「まぁ、そう言う訳やから、俺のここでの発言はあまり気にせんでええで」

 ……と、続けた。
 それに、前世の絆や縁など、今この場で考えたトコロで情報が不足し過ぎて居て、仮説すら立てられない状態。そんな無駄な事に費やしている時間は流石に有りませんから。

 もっとも、この世界で生きて居た、と言う台詞をちゃんと聞いた後に考えを巡らせたのならば、かつてこの世界で生きて居た俺は既に死亡して居ると言う事も簡単に類推する事が可能でしょう。

 そして当然その部分に気付いて居るはずの有希でしたが、その部分に関しては何も問い掛けて来る事もなく、首を微かに動かす事によって俺の科学的ではない言葉を信じてくれた。
 それに――
 それに彼女も気付いたのでしょう。

 昨夜の玄辰水星の反応から、この世界の俺の最期についても……。

「それで、亮。ジイさんのトコロから、頼んで置いた封印具は持って来て貰えたんやろうな」

 取り敢えず、有希は納得してくれたようなので、この話題はここまで。これ以上、俺の前世に関してツッコミを入れられると前世の最期の部分と、今回の事件との類似性を指摘されて、俺自身がこの事
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